研究概要 |
本年度は,以下,(i)-(iv)の研究を行った. (i)現在までに提案しているQoS適応制御機構を最適化するために,無駄なデータの配送に帯域が割当てられることのないよう,物陰に隠れて見えないオブジェクトを判別するオクルージョン・コントロールの導入に向け,アルゴリズムの考案,仕様の決定,設計を行った.現在,実験およびデモンストレーションのためのプログラムを実装中である. (ii)無線環境下において,ブロードキャストによる配送を行う際に,使用する帯域がアクセスポイントを共有するユーザ全員の総計となり,ユーザの興味・関心が平均化されてしまう.この問題について,データ配送に用いる帯域を,重要度の総和による比例配分ではなく,統計情報やコンテキスト情報を考慮したアルゴリズムへの拡張を目指し,既存研究で用いられている手法について調査を行った.現在,この研究調査をもとにアルゴリズムを考案中である. (iii)小さなデータが頻繁に配送され続けるネットワーク環境下においてムービーテクスチャなどの比較的大きなデータを配送するスケジューリングについて検討を行った。ユーザのコンテキスト情報をリアルタイムに反映する可変なデッドラインとプログレッシブストリーミング手法を組合せることのよるフレキシブルな配送手法について検討した.現在,導入に向け予備実験のための試算を行っている. (iv)3Dセンサを使って位置・角度を推定し仮想空間に反映するライブラリを実装した.現在,ジャイロセンサと地磁気センサのハードウェア性能に依存する誤差を補正するためのフィルタを実装中である. 以上,(i)-(iv)について,デモンストレーションなどの一般公開に向け,多角的に実装を進めているため,本年度は対外的な研究発表を行うことができなかった.研究に遅延は認められるものの,今後の研究計画に大きな支障はないと考えている.
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