研究課題/領域番号 |
21H00477
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研究機関 | 天理医療大学 |
研究代表者 |
山本 佳世子 天理医療大学, 医療学部, 准教授 (10625445)
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研究分担者 |
平山 惠美子 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (00389983)
打本 弘祐 龍谷大学, 農学部, 准教授 (20769129)
山田 慎也 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90311133)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 死者へのケア / スピリチュアルケア / 宗教的ケア / 葬送儀礼 / 死後の処置 / エンゼルケア |
研究実績の概要 |
本研究では、(1)質問紙調査による亡くなられた患者の見送り方の全国レベルでの全体像の把握、(2)病院霊安室等の歴史的変遷からみる病院の死者の遇し方の民俗学的検討、(3)「死後の処置」を行う看護師へのインタビュー調査、(4)病院内で葬儀屋「お別れ会」を執行する病院付き宗教者へのインタビュー調査、加えて可能であれば(5)病院での葬儀等を経験した非信者遺族へのインタビュー調査を行うことを計画している。 2021年度は、年3回の研究会を通じて、共通の基盤を固めることを目指した。特に本研究には死生学、宗教学、民俗学、看護学と異なる研究分野のものが参画しているため、互いの共通理解を固めるために徹底した議論を行った。また、(1)の調査の計画立案、実施及び分析までを行なった。全国の病院から無作為抽出した1000施設を対象に無記名式質問紙調査を行い、139件の回答を得た。病院では、死後の処置の中で「死者へのケア」がなされており、お見送りにおいては追悼の要素は少ない病院が多く、追悼することでの「死者へのケア」を行っている施設は少ないと言えよう。霊安室を利用することも少ない。しかし、一定数の施設で追悼の意を示す儀式等が行われており、その際には霊安室が用いられることが多いことが明らかになった。 その後、(3)および(4)の面接調査について計画立案をしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大につき、インタビュー協力者より年度内の実施は困難との意向が示され、2022年度に行うこととなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究会を通じて研究代表者と研究分担者の間で本研究のテーマに関するこれまでの知見を共有し合いことができた。特に、本研究には死生学、民俗学、宗教学、看護学と専門分野の異なる研究者が参加しており、研究会で意見交換することを通して、それぞれの知見を共有し、異同を確認していくことができた。 また、(1)全国の病院に対する質問紙調査を実施し、その結果をどう解釈できるのか、研究会を通してそれぞれの研究領域からディスカッションを重ねた。 しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大のため、インタビュー調査については計画立案をするも、実施に至ることができなかった。そのため、インタビュー調査にかかる研究費を翌年に繰り越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は定期的な研究会(年3回)での徹底した議論を続行しながら、以下の調査を行う。 (3)「死後の処置(エンゼルケア)」を行う看護師へのインタビュー調査:一般的に病院での「死者へのケア」は主に看護師が「死後の処置」問い形でになっている。何を思いながら、どのような意識で支社に接しているのか、医療者にできる「死者の遇し方」をどのように考えているのか等を尋ね、医療者による「死者の遇し方」を明らかにする。 (4)病院での葬儀や「お別れ会」を執行する病院付き宗教者へのインタビュー調査:宗教系病院で活動する宗教者に対し、「死者へのケア」に関する活動内容、どのような思いで行っているのか、病院付き宗教者や病院にできる「死者への遇し方」をどのように考えているのか等を尋ね、病院付き宗教者による「死者の遇し方」を明らかにする。 同時に、(2)病院霊安室等の歴史的変遷から見る病院の死者の遇し方の民俗学的検討についても、病院へのフィールド調査等を実施し、検討を進める。 また、2021年度に実施した(1)質問紙調査による亡くなられた患者の見送り方の全国レベルでの全体像の把握について、成果を学会等で発表する。
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