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2022 年度 実績報告書

病院は死者をいかに遇することができるか:医療現場での『無宗教』者への死者へのケア

研究課題

研究課題/領域番号 21H00477
研究機関天理医療大学

研究代表者

山本 佳世子  天理医療大学, 医療学部, 准教授 (10625445)

研究分担者 平山 惠美子  藍野大学, 医療保健学部, 教授 (00389983)
打本 弘祐  龍谷大学, 農学部, 准教授 (20769129)
山田 慎也  国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 教授 (90311133)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード死者へのケア / 宗教的ケア / スピリチュアルケア / エンゼルケア / 死後の処置 / 葬送儀礼
研究実績の概要

本研究では、(1)質問紙調査による亡くなられた患者の見送り方の全国レベルでの全体像の把握、(2)病院霊安室等の歴史的変遷からみる病院の死者の遇 し方の民俗学的検討、(3)「死後の処置」を行う看護師へのインタビュー調査、(4)病院内で葬儀屋「お別れ会」を執行する病院付き宗教者へのインタ ビュー調査、加えて可能であれば(5)病院での葬儀等を経験した非信者遺族へのインタビュー調査を行うことを計画している。
2022年度は、まず2021年度に行った(1)の質問紙調査の研究成果をまとめ、関係学会で発表した。また、(3)公立病院及び宗教系病院に勤務する看護師へのインタビュー調査と、(4)宗教系病院で活動する病院付き宗教者へのインタビュー調査を行った。看護師については宗教系病院2施設、公立病院3施設、計16人に調査を行うことができた。宗教者に関しては、4施設、計11人に調査を行うことができた。計7ヶ所の施設でインタビュー調査を行ったが、新型コロナウイルス感染拡大につき、3施設はオンラインでのインタビューとなり、対面での調査は3施設に限られたため、(2)死者の遇し方に関する民俗学的検討につながる病院内のフィールド調査は限定的となった。
また、2022年度末には米国ハワイ州より2名のチャプレンを招聘し、また、韓国やイギリス等の事情にも詳しい国内の研究協力者も集まっての研究会及び講演会を催すことができ、次年度以降につながる活発な意見交換をすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

対面の研究会1回、オンラインでの研究会1回、メールでの活発な意見交換を通じて、議論を深めることができた。研究代表者の山本と研究分担者の平山で、看護師への面接調査を行った。一部の宗教系病院の看護師については、打本も調査に加わった。病院付き宗教者へのインタビュー調査は研究代表者の山本及び研究分担者の打本、山田の3名で行った。公立病院、仏教系病院、キリスト教系病院、新宗教系病院、メディカルケアハウスと様々な施設の調査を行うことができ、「死者へのケア」の多様性を確認できた。
新型コロナウイルス感染症が落ち着いてきたため、2023年2月にはハワイより浜本京子氏、浜本一典氏の両チャプレンを招聘することが叶った。浜本京子氏による講演会、臨床スピリチュアルケア協会との共催での勉強会、国内の研究協力者も参加してのセミクローズドな研究会を開催することができた。
インタビュー調査について、予定していた全てを実施することはできず、2023年度にも引き続き行うこととなるが、それ以外は概ね順調に進めることができている。

今後の研究の推進方策

2023年度は、宗教者及び看護師への追加のインタビュー調査を行いつつ、研究分担者との活発なディスカッションを通し、研究成果の統合と公表を進めていきたい。その際には、国内の関連学会だけでなく、国際会議でも研究発表を行う予定である。また、2022年度に引き続き、国外からの研究者を招聘し、国内の研究協力者も参加しての講演会や勉強会、研究会を今年度も実施したい。それらの成果を書籍にまとめ、出版できればと考えている。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] グリーフケアの展開と課題2023

    • 著者名/発表者名
      山本佳世子
    • 雑誌名

      人間性心理学研究

      巻: 40(2) ページ: 91-97

  • [雑誌論文] 書評:郷堀ヨゼフ監修『研究シリーズ 仏教ソーシャルワークの探 求』No.0~No.72023

    • 著者名/発表者名
      打本弘祐
    • 雑誌名

      文京看護・ビハーラ

      巻: 17 ページ: 印刷中

  • [雑誌論文] Evaluations of Funerals and Health Trajectories in the Second Year After Bereavement?The Ongoing Japan National Survey2022

    • 著者名/発表者名
      Becker Carl B.、Taniyama Yozo、Sasaki Noriko、Kondo-Arita Megumi、Yamada Shinya、Yamamoto Kayoko
    • 雑誌名

      OMEGA - Journal of Death and Dying

      巻: 0 ページ: 0

    • DOI

      10.1177/00302228221121494

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 看護主任の倫理的能力を育む基盤づくりと倫理的感性 の根付かせ方2022

    • 著者名/発表者名
      平山惠美子
    • 雑誌名

      主任看護師Style

      巻: 31(5) ページ: 2-7

  • [雑誌論文] ”よい看護を提供したい”という思いから生じる看護 師の倫理的葛藤2022

    • 著者名/発表者名
      平山惠美子
    • 雑誌名

      コミュニティケア

      巻: 24(11) ページ: 13-16

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 効率化により変わりゆく葬送儀2022

    • 著者名/発表者名
      山田慎也
    • 雑誌名

      中央公論

      巻: 136(6) ページ: 38-45

  • [学会発表] 病院での『死者へのケア』~全国の病院への質問紙調査より~2022

    • 著者名/発表者名
      山本佳世子
    • 学会等名
      日本スピリチュアルケア学会第15回学術大会
  • [学会発表] スピリチュアルケアを問う~4つの専門職の「寄り 添う」の中にあるもの~”看護の発見”の潜在性に働きかける看護師へのスピリチ ュアルケア2022

    • 著者名/発表者名
      平山惠美子
    • 学会等名
      日本スピリチュアルケア学会第15回学術大会
  • [学会発表] 臨床宗教師とは何か2022

    • 著者名/発表者名
      打本弘祐
    • 学会等名
      日本統合医療学会岡山支部第6回総会・学術 講演会
  • [学会発表] 認知症の方のターミナルケアについて考える2022

    • 著者名/発表者名
      打本弘祐
    • 学会等名
      第45回渡辺病院認知 症ケア懇話会
  • [図書] 宗教者は病院で何ができるのか2022

    • 著者名/発表者名
      森田 敬史、打本 弘祐、山本 佳世子
    • 総ページ数
      272
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      978-4326701261
  • [図書] 無縁社会の葬儀と墓2022

    • 著者名/発表者名
      山田 慎也、土居 浩
    • 総ページ数
      260
    • 出版者
      吉川弘文館
    • ISBN
      978-4642082068
  • [図書] 現代日本の「看取り文化」を構想する2022

    • 著者名/発表者名
      浮ヶ谷 幸代、田代 志門、山田 慎也
    • 総ページ数
      408
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      978-4130604178

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公開日: 2023-12-25  

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