研究実績の概要 |
二年目となる2022年度は、コロナ禍の影響が残る中、メンバーの各々が個別に研究を進めつつも、海外の研究者との共同による企画を開催するなど、充実した一年となった。プロジェクト内部では、5月29日に初めて対面で集まることが叶い、その後も10月8日と12月18日にオンラインのミーティングを開いて、進捗状況の確認と意見交換を行った。公開での企画としては、近現代日本におけるギリシア古典受容の問題を多方面から論じたLe Japon grec : Culture et possession(Gallimard, 2019)の著者であるMichael Lucken教授(INALCO)の公開講演会を、11月に北海道大学と東京大学で開催した。また、9月9日にはオルレアンでPierre-Alain Caltot, Aline Henninger両オルレアン大学准教授の主催により日本の演劇における西洋古典受容をテーマとした国際シンポジウムが開かれ、研究代表者の中谷と研究分担者の野津が発表を行った。その際の中谷の発表はラシーヌ『フェードル』やエウリーピデース『ヒッポリュトス』を元にした三島由紀夫の歌舞伎「芙蓉露大内実記」に関するものであったが、その後も中谷はベルギーでの在外研究中、ヘント大で開催された古代小説に関する国際学会にAdvisory Committeeの一人として参加し『ダフニスとクロエー』の様々な日本語訳を分析する発表を行ったほか(なお同学会では研究協力者の勝又泰洋も発表している)、古代小説の西洋古典受容に関する招待講演をヘント大・オルレアン大・スウォンジー大で次々と行っている。これらの研究成果が論文として結実するのを待たずして、研究代表者の急逝により本研究プロジェクトもまた唐突な中止を余儀なくされたことは痛恨の極みである。
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