研究課題
本研究では,増加するアレルギー疾患罹患児と彼らを取り巻く社会に対して,中核機関としての学校に向かう方策を検討することを目的とした。(1)A県内の小・中・高・特別支援学校に勤務する教員(4,313名)を対象にアレルギー疾患の理解と課題に関する質問紙調査を実施した。その結果,教員の約半数は食物アレルギーを含む種々のアレルギー疾患への対応経験を持ち、その約9割は食物アレルギーであった。また、職種間では有意な差が認められ、養護教諭・栄養教諭は9割以上、担任は約半数、担任外は約4割であった。教員の7割が勤務校においてアレルギーに関する研修を受講しており、その内容としてはほとんどが食物アレルギー、アナフィラキシーおよびエピペンに関することであった。一方、養護教諭や栄養教諭は8割以上が大学でもアレルギーの受講経験を持つのに対して、担任等を含むその他の教員は2割以下であった。食物アレルギーへの対応について、自信があると回答した教員は約半数、アナフィラキシーやエピペン注射については約4割であった。いずれの自信も勤務校での研修経験の有無によって有意な差が認められ、研修は教員の自信につながっていた。(2) 児童の学校生活における免疫アレルギー疾患の理解促進を目的に、免疫の仕組みを題材とした科学絵本を小学校の教職員に配布し、教室内などでの活用や絵本を利用したアレルギーに関する知識の伝え方に関する調査を行った。その結果,全ての回答者が免疫に関する知識の必要性を感じており、免疫の知識が免疫アレルギー疾患の理解や児童への指導にも役立つと回答した。免疫の仕組みに注目した専門的な内容を扱った絵本は、教室・保健室・図書室での子供たちの閲覧に加え、読み聞かせや授業の教材、教員間の参考資料にもなるなど、小学校現場でのアレルギー・感染症に関わる様々な場面で、免疫の理解促進に寄与できる可能性があると考えられた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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