本研究は、人の文明発展にも貢献したと考えられる文化伝達のプロセスを理解するため、ヒトと、ヒトのように自発的に音声模倣学習を行う能力をもつキンカチョウという鳥を対象として、長期的に新奇な歌を伝達させる実験を行った。本研究では、文化伝達効率を高める社会的要因・音響特性・情動要因について有益な知見が得られ、また、新しい文化が世代を超えて定着しまた異なる文化へと近接する文化進化のプロセスを計測できた。特に新しい文化導入後の文化進化の方向性を予測できるようになったことは重要な知見であり、今後の長期文化伝達実験継続が文化と社会の複雑な関係の解明に向けて有用だと期待できる。
|