研究課題
本研究では、モアレ超構造を利用して励起子を精密に自在配列し、励起子間相互作用による新しい巨視的な量子光学現象を探究し、それらを支配する普遍的な物理を明らかにすることを目的としている。モアレ超構造を利用してこれまでに実現されていない高配列・高密度な励起子集合体となる新たな量子システムを構築し、従来の光と物質の相互作用の枠組みを超えた新たな量子光学現象の発現を目指している。本研究を通して、光と物質の相互作用の根源的な理解が深化され、基礎学術において大きなブレークスルーをもたらす可能性を秘めている。令和5年度は、まずWSe2/MoSe2の原子層ヘテロ構造からの発光の干渉測定を行いモアレ励起子の長い量子コヒーレンスを観測し、モアレ超構造において量子ドットのような0次元系が実現できていることを示した。さらに、モアレ超構造からの単一光子発生を観測し、量子光源としての機能性を明らかにした。また、モアレ超構造における励起子がコヒーレントに相互作用することで生じる量子ビートの観測を行い、モアレ励起子の協力的な相互作用に由来する量子光学現象を観測することができた。より多数のモアレ励起子の相互作用の実現には、高い振動子強度が不可欠であると考え、WSe2/WSe2原子層ヘテロ構造を作製し、その光学特性を明らかにした。まず、WSe2/WSe2原子層ヘテロ構造の混成励起子由来の特異な円偏光特性の解明を行なった。さらに、発光の時間発展や反射測定から、WSe2/MoSe2原子層ヘテロ構造に比べて一桁以上振動子強度が強く発光レートの増大を観測することができた。超蛍光現象などの協力的量子光学現象の観測が可能であることを定量的に見積もることができ、さらなる量子光学現象を実現するプラットフォームとして有望であることを明らかにした。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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