研究課題/領域番号 |
21H01269
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福原 洸 東北大学, 電気通信研究所, 助教 (10827611)
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研究分担者 |
増田 容一 大阪大学, 工学研究科, 助教 (70849760)
郡司 芽久 東洋大学, 生命科学部, 助教 (80833839)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | バイオメカニクス / 四脚動物 / 旋回行動 / 前肢ロック機構 |
研究実績の概要 |
当該年度では,1)動物解剖による前腕部分の構造把握と体重支持時のロック機構の検証・計測方法の検討,2)ロボットモデルによる前腕自由度の活用メカニズムの検討,ならびに3)反射メカニズムによる横断面上のバランス制御にそれぞれ取り組んだ. 動物の回内・回外自由度におけるロック状態を計測するために,肘などの姿勢依存性や体重支持に相当する垂直荷重の影響を含めて検証するため,サンプル自体を適切に固定する必要がある.当該年度ではサンプルの上腕部分を固定するための治具の検討を進め,固定方法を確立した.今後は,前腕部分のねじり剛性の計測を進める. ロボットモデルによる前腕自由度の活用メカニズムにおいては,脚の接地の応じて前腕を捻る運動が旋回運動を誘発することを確かめた.このことは,従来のロボットの旋回に用いられるストライド長の左右差や外転・内転自由度の活用とは異なる新たな旋回戦術につながると期待できる.今後はロボット実機を含めた提案モデルの有用性を確かめる.また,解剖学的特徴をロボットへ実装する新しい手法として,動物の筋・テンドンネットワークや柔軟な部材を実装する手法についてもいくつかの試作を進めることができた. 旋回運動では重心が左右方向へ変化するため,姿勢安定のためのメカニズムが重要となる.本研究のテーマでもある前腕などの末梢部の構造を活用し,旋回時のバランス維持するためには,脚の遠位側のみならず,肩などの遠位側の運動調整が重要であると考えられる.そこで当該年度では,ロボットの身体の負荷状況に応じたよろめき動作による運動調整メカニズムの検討を行った.その結果,姿勢変化に応じて,ロボットの転倒を防ぐ方向へ脚を送る振る舞いが創発された.今後は,提案システムをより定量的に評価し,旋回運動などへの寄与も検証してゆく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度では,動物の肉眼解剖の実施により,前肢の不動化現象を引き起こすと考えられる解剖学的特徴の特定を進めることができた.これにより次年度以降の前腕サンプルのねじり剛性を計測する際に,当該部位の有無による影響を確かめることができる. また,2年目以降に取り組む予定だった動物の行動計測やロボットモデルの試作構築を一部前倒して進めることができた.当該年度の取り組みにより得られた前腕の遠位部と近位部の相互作用という観点は,次年度以降の計測やロボット実験を進める上で重要な知見となると期待できる.
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今後の研究の推進方策 |
次年度では,開発する前腕捻じり剛性計測装置により,前肢の手首や肘などの身体部位の姿勢依存性や垂直荷重による影響を検証する.また,動物の運動計測では,直進運動時と旋回時の振る舞いの違いを明らかにするために,複数カメラによる3次元運動解析と圧力センサシートによる支持脚の圧力中心の計測を行う.更に,ロボットモデルによる前腕の運動自由度の活用制御則を構築し,動物の運動計測によって明らかになる旋回時の振る舞いを再現可能なものか確かめる.
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