早期救命を目指した事故自動緊急通報システムは治療開始までの時間が重要にもかかわらず,これまで時間をリスクファクタとした傷害予測アルゴリズムの開発研究はない.本研究では,大規模な交通事故統計データに基づく傷害予測アルゴリズムをベースモデルとし,病院までの搬送に要した時間をリスクファクタに加えた傷害予測アルゴリズムを構築した.構築にあたっては,南オーストラリア州の重傷事故データベースを活用し,搬送時間と死亡重傷率の関係を分析した.そしてこの関係をオッズ比として定量化した後に回帰係数に換算し,ベースとしたアルゴリズムに追加することで,搬送時間をリスクファクタとする傷害予測アルゴリズムを構築した.
|