研究課題
基盤研究(B)
本研究では、高選択性・高活性反応の反応場となる剛直な骨格をもつ新たな大環状多核錯体の創製を目的とした。その結果、以下の各項目に関する興味深い成果を得ることができた。(1) 環状六量体パラジウム錯体の直鎖状二座配位子による位置選択的架橋。(2) ピリジルベンゾオキサゾール(pbo)の環状多量体とその多核錯体の反応。(3) ビフェノール骨格をもつ両官能性単量体を用いたsap環状多量体の合成と多核錯体形成。
超分子化学
数ある反応部位の中から、特定の部位を選択的に変換する合成法の開発は、望みの化合物を効率的に合成するための重要課題である。また、選択的かつ高効率な反応のためには、基質の配向および活性種の相対配置を制御する必要がある。剛直な骨格をもつ新たな大環状多核錯体の創製に成功した本研究は、基質や小分子を結合して活性種を生成して反応を促進する配位サイトを、一定間隔で配置するための新たな方法論を提供した。この成果は、錯体化学のみならず有機化学・薬学など幅広い学術・産業分野に波及効果をもたらす。