研究課題/領域番号 |
21H02071
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
澤 智裕 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (30284756)
|
研究分担者 |
津々木 博康 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (40586608)
小野 勝彦 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (80573592)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
キーワード | NLRP3インフラマソーム / 超硫黄分子 / レドックス / 自然炎症 |
研究実績の概要 |
インフラマソームは、感染や組織損傷、環境異物への暴露などにより活性化されるタンパク質複合体で、インターロイキン(IL)-1βやIL-18などの炎症性サイトカイン生成をもたらす重要な自然炎症応答を担っている。我々は内因性のインフラマソーム活性化因子であるアデノシン3リン酸(ATP)による刺激が、抗酸化ペプチドであるグルタチオン(GSH)とその超硫黄体であるグルタチオンポリスルフィドが細胞外へ放出され、それがNLRP3インフラマソームの活性化を促していることを報告した。本研究では、ATP刺激や他のさまざまな活性化刺激に対して、細胞内の超硫黄分子がどのように制御機構に関わっているのかその分子機能の解明を目指している。本年度は、インフラマソーム活性化プロセスにおいて、細胞外より超硫黄を供給する超硫黄ドナーを細胞に処理し、そのときのNLRP3インフラマソームの活性化を解析した。我々が開発した超硫黄ドナーであるNACポリスルフィドはATP刺激によるNLRP3インフラマソームの活性化を強力に阻害することが、株化マクロファージ(J774.1細胞)、マウス骨髄由来マクロファージ、およびマウス個体を用いた解析から明らかとなった。この超硫黄による阻害はインフラマソームのタイプに高い特異性を示し、NLRP3インフラマソームは強力に抑制するが、NARC4インフラマソームやAIMインフラマソームは阻害しなかった。現在、その阻害特異性の詳細な分子機構を解析している。今後は細胞内超硫黄の精密定量、インフラマソーム活性化の各プロセス、タンパク質翻訳後修飾の解析を実施する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
NLPR3インフラマソームの活性化プロセスが、超硫黄分子の供給により選択的に阻害されることを見出した。このような知見はこれまでに報告されておらず、新規な抑制機序の可能性が示唆されたため。
|
今後の研究の推進方策 |
細胞内に超硫黄が増加することで、なぜNLRP3インフラマソームが阻害されるのかを、NLRP3インフラマソームを構成するタンパク質について、超硫黄による翻訳後修飾、特にシステインポリスルフィド化から解析する。
|