研究実績の概要 |
本年度は、マウスマクロファージ様細胞 (RAW264.7) あるいは骨髄由来マクロファージ細胞 (BMDM)を大腸菌由来LPSおよび種々のアシル鎖のSM分子種(SM d18:1/12:0, SM d18:1/14:0, SM d18:1/16:0)で共刺激し、IL-6およびIL-1αの放出量を調べた。ヒトあるいはマウスTLR4/MD2/CD14遺伝子と分泌型アルカリホスファターゼ (SEAP) レポーター遺伝子を発現したHEK-Blue TLR4細胞を用いてTLR4を介したNF-κBの活性能を評価した。また、TLR4下流のシグナルに関するタンパク質のリン酸化活性をウエスタンブロッティングによって解析した。さらに、ウエスタンブロッティングにより、炎症性細胞死に関するタンパク質Caspase1、Caspase11、Gasdermin DおよびIL-1βの発現量変化を調査した。 その結果、LPS単独刺激と比較して、長鎖アシル鎖を持つSM (C14:0、C16:0)の共存はIL-6およびIL-1αの産生を大幅に減少させた。一方、SM (C12:0)は単独で顕著なIL-6およびIL-1αの産生を惹起できることを見出した。SEAPレポーターアッセイにおいてはSM(C12:0, C14:0, C16:0)の存在下では、LPSによるNF-κBの活性化が抑制されることがわかった。TLR4下流のMyD88およびTRIF依存経路をそれぞれのシグナル分子であるp38およびIRF-3についてウエスタンブロッティングによって調べたところ、90分以内にp38はSM (C12:0)あるいはSM (C14:0)の刺激でリン酸化され、IRF-3はSM (C12:0)の刺激でリン酸化されることが示された。この分子種の違いによる活性化に違いについて、引き続きルシフェラーゼレポーターアッセイとの相関を検証する。
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