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2021 年度 実績報告書

ポストハーベスト工学操作による食品への健康機能性付与

研究課題

研究課題/領域番号 21H02312
研究機関千葉大学

研究代表者

小川 幸春  千葉大学, 大学院園芸学研究院, 教授 (00373126)

研究分担者 齋藤 高弘  宇都宮大学, 農学部, 教授 (50221990)
田村 匡嗣  宇都宮大学, 農学部, 助教 (60750198)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード消化性 / 機能性 / 収穫後調製 / 加工 / バイオアベイラビリティ
研究実績の概要

農作物収穫後の調製・加工には多くの場合物理的な操作,特に熱的な操作を伴う,その結果,大小の物理的な構造変化や含有成分の変化が生じる.それら操作時の条件も,例えば精米の程度が米飯の消化性に影響を与えることが知られている通り,最終製品の品質や消化性に関与する.本研究では,in vitroの模擬消化系を用いた植物性食品含有成分の動的な消化性評価法(バイオアベイラビリティ評価)により,ポストハーベスト工学操作の方法や条件が植物性食品の健康機能性に関わる含有成分の変化および消化性に及ぼす影響の解明を目的とする.2021年度は様々な植物性食品を対象に,サンプル自体の前処理法や処理条件を評価するための生理活性物質の特定などを検討した.特に,梅干しを加工する際に添加される塩漬け赤シソの機能性成分特定,機械製茶する際に茶葉の段階的な乾燥を促すための6工程が緑茶茶葉に及ぼす影響,特に茶葉の微細構造変化および熱湯への成分溶出性に及ぼす影響を調査,解明した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①シソの葉の機能性に関する研究
梅干しを製造する際,色取り調整のために付け合わせるシソの葉の機能性成分とシソの葉が模擬消化される過程での機能性成分の溶出性変化を調査した.シソの葉は緑色葉と赤色葉も比較した.その結果,生葉の場合は細胞壁などに結合している不溶性ポリフェノール化合物と結合していない可溶性ポリフェノール化合物で消化中の溶出性が異なることが明らかとなった.主要な不溶性フェノール化合物としてはカフェイン酸とロズマリン酸が検出され,模擬消化過程では赤色葉の方がより多く溶出していた.シソの葉を梅干しに付け合わせる際の塩もみ工程が機能性成分の溶出性に及ぼす影響および梅干し自体の機能性についても調査,検討する.
②茶葉の乾燥加工が緑茶茶葉および緑茶飲料の機能性に及ぼす影響に関する研究
日本茶(緑茶)の製造過程では,生茶葉を蒸熱処理して葉内部の酵素を失活させてその後の発酵を防ぐとともに,含有水分を徐々に低下させる特別な乾燥加工を適用する.それら日本茶の生茶葉収穫後の乾燥加工工程は,蒸熱,粗揉,揉捻,中揉,精揉,乾燥の6工程に細分化できる.そこでそれぞれの工程で茶葉に生じる微細構造および成分溶出性を調査し,茶葉の機能性を最適化する加工条件を検討した.その結果,工程の進行に伴って茶葉が細分化され,微細構造も変化することが判明した.しかし一方で,機能性を有するポリフェノール類の溶出程度は蒸熱,租揉の両工程によってほぼ決定されることが明らかとなった.このため次の段階として,蒸熱および租揉の各工程の処理条件の影響を調査,検討する.

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進方策は以下の通り.
①米飯の糖質消化性に関する研究:収穫後の乾燥調製加工操作,特に加熱処理条件が炊飯後の糖質消化性に及ぼす影響を検討する.具体的には収穫後の生モミを高湿高温空気や温湯などで湿熱処理し,付加温度と加熱時間をパラメータとして精米,炊飯された米飯の糖質消化性を調査する.これにより生モミに対する熱負荷と糖質消化性の関係を明らかにする.
②発酵処理と食品のバイオアベイラビリティの関係に関する研究:発酵条件をパラメータとして甘酒を作製し,発酵過程における糖質消化性および抗酸化活性の変化を解析する.これにより発酵処理が糖質食品の健康機能性に及ぼす影響を明らかにする.
③カット野菜の保蔵条件と模擬消化時の機能性の関係に関する研究:カット野菜の保蔵条件が模擬消化過程における抗酸化活性変化に及ぼす影響を検討する.これによりカット野菜保蔵時の条件と野菜のバイオアベイラビリティに関わる健康機能性に及ぼす影響を評価,検討する.
④茶飲料の機能性とバイオアベイラビリティの関係に関する研究:模擬消化試験系を利用して,製茶加工条件が茶葉および茶飲料の抗酸化活性変化に及ぼす影響を検討する.特に茶葉の構造と茶飲料のバイオアベイラビリティに関わる健康機能性に及ぼす影響を評価,検討する.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Changes in Morphological and Functional Characteristics of Tea Leaves During Japanese Green Tea (Sencha) Manufacturing Process2021

    • 著者名/発表者名
      Qin Wei、Yamada Ryutaro、Araki Takuya、Ogawa Yukiharu
    • 雑誌名

      Food and Bioprocess Technology

      巻: 15 ページ: 82~91

    • DOI

      10.1007/s11947-021-02735-7

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2023-12-25  

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