研究課題
農作物収穫後の調製・加工には多くの場合物理的な操作,特に熱的な操作を伴う,その結果,大小の物理的な構造変化や含有成分の変化が生じる.それら操作時の条件も,例えば精米の程度が米飯の消化性に影響を与えることが知られている通り,最終製品の品質や消化性に関与する.本研究では,in vitroの模擬消化系を用いた植物性食品含有成分の動的な消化性評価法(バイオアベイラビリティ評価)により,ポストハーベスト工学操作の方法や条件が植物性食品の健康機能性に関わる含有成分の変化および消化性に及ぼす影響の解明を目的とする.2023年度はこれまでの継続課題として,①収穫後調製・加工工程の操作条件が米飯の糖質消化性調節に及ぼす影響,②漬物加工工程の操作条件が健康機能性に及ぼす影響,③茶葉の収穫後操作条件が茶飲料の健康機能性に及ぼす影響,を実施した.また新たな課題として,④甘酒製造に関わる米飯の発酵工程が甘酒の抗酸化活性に及ぼす影響,⑤植物種子および葉鞘部の生育・保存条件が含有タンパク質の含有量およびアミノ酸組成に及ぼす影響,も検討した.研究成果として,①生モミに対する加熱操作としてマイクロ波加熱を適用し,短時間高温加熱処理が米飯の糖質消化性に及ぼす影響を検討した.その結果,モミ温度を100℃程度まで急速加熱した場合に糖質消化性の低下が確認された.その原因として,含有成分分解酵素の活性変化とともに糠層に含まれる油脂とデンプンの複合的な分子間結合の変化も関与することを確認した.④甘酒の糖質分解工程における発酵温度が抗酸化活性に及ぼす影響を検討した結果,温度条件が高くなるほど抗酸化活性は低下することが確認された.⑤大豆種子を原料とする豆腐の製造条件がタンパク質の消化性に及ぼす影響を検討した結果,凝固剤の種類が消化後のアミノ酸プロファイル変化に関与していることを確認した.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Agricultural and Food Chemistry
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