研究課題
基盤研究(B)
マウスを用いてインフルエンザウイルス感染に対する宿主の生体応答を詳細に解析したところ、酸化LDLの受容体であるlectin-like oxidized LDL receptor-1 (LOX-1)は重症インフルエンザの際に起こる血液凝固異常及び免疫細胞の応答や損傷組織の修復の適切な制御に必要であることが明らかになった。また、感染に伴って増加すると考えられている酸化リン脂質はプログラム細胞死や貪食の促進を介して感染細胞の排除に貢献していると示唆された。
感染症
マウスを用いた実験から、宿主の脂質代謝や脂質クオリティの制御システムがインフルエンザの病原性を左右すると明らかになった。本研究で観察されたものと共通する血中脂質プロファイルの変化がすでに新型コロナウイルス感染症やデング熱ウイルス感染症患者で報告されている。ウイルス自体ではなく宿主に重篤な症状を引き起こす生体応答をコントロールすることで重症化を防ぐという考え方が近年広がりつつある。ここで示された脂質制御に関わる生体応答は広くウイルス感染症における治療標的となりうると期待される。