研究実績の概要 |
タイトジャンクション(TJ)をもたないクローディン欠失MDCK細胞に、クローディンの各サブタイプを発現させてTJを再構成させ、その形態、バリア機能を解析した。クローディン欠失MDCK細胞を樹立する際にゲノム編集により破壊した5つのクローディンは、そのすべてが単独でバリアとして機能的なTJを形成できる一方、MDCK細胞に内在性に発現するクローディン12、16はTJを形成できないことが明らかになった。凍結割断法による解析からTJを再構成した5つのクローディンのうち、クローディン1,2,3は分岐のあるTJストランドを形成し、クローディン4は平行で交わりにくいTJストランドを形成した。次に、チャネル型クローディンであるクローディン2、10a, 10b, 15をそれぞれ単独でクローディン欠失MDCK細胞に発現させたところ、いずれのクローディンも単独でTJを形成し、paracellular flux アッセイにおいて十分なバリア機能を示す一方、従来報告されていた陽イオン選択性(クローディン2, 10b, 15)、陰イオン選択性(クローディン10a)を示した。したがって、これらのチャネル型クローディンは、他のクローディンサブタイプと相互作用することなく単独でチャネルを形成していることが証明された。今後、異なる発現量、あるいは特定のクローディンのサブタイプの組み合わせにより再構成されたTJの形態と機能の解析にこの研究を発展させる。
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