研究課題
基盤研究(B)
温度馴化に関わる新規の組織の同定や、新たな関連分子の同定が課題であった。そこで、シンプルな実験動物C. elegansの温度馴化をつかい、神経とその下流の組織ネットワークに至る温度情報の処理システムを解析することを目的とした解析を行った。哺乳類において記憶を司る転写因子であるCREBが頭部の温度受容ニューロンASJと介在ニューロンRMGで機能することが示唆された。CREBの下流で頭部のニューロンから分泌される神経ペプチドが腸内脂肪の蓄積を変化させ個体の温度馴化を変化させることが示唆された。
生物学
C. elegansが環境温度の変化に対応し、腸の脂質含量を調節する機構を持つことが明らかになった。冬眠する哺乳類の中には秋に脂肪を蓄えて冬に備えるものもおり、周囲の温度情報が与える生体の脂質の貯蔵と燃焼への影響は、C. elegansから高等動物まで保存されている可能性がある。よって、本研究で示した脳腸連関のモデルが高等動物における温度応答メカニズムを理解する上で有用なモデルとなる可能性が考えられる。(令和4年7月27日 甲南大学プレスリリースを改変引用)