MAPK経路は増殖・死、免疫応答等を制御する情報伝達系であり、その異常が癌、自己免疫疾患等の病態にも深く関与する。本研究では、MAPK経路による生命機能制御とその破綻による疾患発症機構を解明する事を目標に研究を行った。まずトランスクリプトーム解析を実施して、各MAPK経路の下流で発現変動する特定の遺伝子を多数同定した。さらにこれらの遺伝子の中から機能未知遺伝子に焦点を絞って解析を進め、その発現制御機構を解明するとともに、生理機能に関しても多くの知見を得た。特にERK経路によって誘導される特定の分子が癌細胞の薬剤抵抗性に寄与する事を見出し、この分子を標的とした新たな癌治療法開発の可能性を示した。
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