研究課題/領域番号 |
21H02770
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
八尾 良司 公益財団法人がん研究会, がん研究所 細胞生物部, 部長 (80291095)
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研究分担者 |
新井田 厚司 東京大学, 医科学研究所, 講師 (00772493)
丸山 玲緒 公益財団法人がん研究会, がん研究所 がんエピゲノムプロジェクト, プロジェクトリーダー (60607985)
長山 聡 公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 医長 (70362499)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 患者由来オルガノイド / 大腸がん / 転移・再発 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、同一患者の原発巣と転移・再発巣からpatient derived organoids(PDOs)を樹立し、それらを構成する細胞の不均一性を解明する。具体的には、in vitro再構成系によるがん組織の発生機構と恒常性維持機構の解析とin vivoイメージングによる生体組織レベルでの解析を行う。 これまでの解析により、OLFM4が、進行大腸がん由来オルガノイドの幹細胞マーカーであることが明らかになっている。本年度は、IRES-EGFP-P2A-inducible Caspase9カセットを作成し、ゲノム編集による効率的なノックイン技術を開発した。オルガノイドをシングルセルにし、エレクトロポレーションにより、作成したカセットをCas9、guideRNAとともに導入した。その結果、65%のオルガノイドで目的のノックインが生じていることが確認された。作成されたオルガノイドは、OLFM4陽性細胞が特異的に蛍光標識され、さらにBB homodimerにより、選択的に除去されることが明らかになった。そこで、FACSにより単離されたEGFP陽性細胞を培養したところ、陽性細胞が自己複製するとともに、EGFP陰性細胞が生じ、多様な細胞から構成されるオルガノイドが再構築されることが明らかになった。そこで、OLFM4陽性細胞からの再構成されるオルガノイを経時的に回収し、scRNA-seq解析のデーター収集に着手した。 一方で、生体組織のin vivoイメージングを行うために、EGFP-luciferas融合遺伝子を発現するオルガノイドを作成し、同所移植実験を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オルガノイドのゲノム編集効率が飛躍的に向上し、論文として公表された。 作成されたオルガノイドは、がん幹細胞の特異的可視化と除去が可能であり、また再構成実験系も確立しており、当初の予定通り、進展している。
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今後の研究の推進方策 |
OLFM4陽性細胞からのオルガノイド再構成過程を経時的にサンプリングし、scRNA-seqを行い、大腸がんオルガノイドの発生過程における細胞不均一性の発生と組織維持機構を解析する。得られたデータをもとに、細胞系譜を推定し、in vitroでの検証実験を行うとともに、その分子機構の解明を目指す。 患者由来オルガノイドの一細胞解析により明らかになるがん組織の細胞多様性のがん進展における生物学的意義を明らかにするために、オルガノイドのラベリングと同所移植実験系の確立を進める。
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