肝臓は代謝および解毒を司る臓器であるため、肝機能低下や肝疾患は消化器、脾臓、心臓、肺、腎臓などの臓器機能や病態形成に深く関与する。特に肝疾患で併発する呼吸器障害は、肝肺症候群と呼ばれ、患者QOLを低下させた上で患者生命そのものを脅かす。慢性的な肝機能の低下により蓄積した血管拡張物質が肝肺症候群の原因とされてきたが、現在までに詳細な病態形成機序は示されていない。そこで、肝臓-脳軸が肺の恒常性に及ぼす影響をマウスモデルで解析した。迷走神経肝臓枝の切除は、肺の2型自然リンパ球を増加させた。この結果は、肝臓病変は求心性迷走神経を通じて肺機能等に影響を及ぼすことを示唆している。
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