研究課題
110名の慢性副鼻腔炎患者と33名の健康人において鼻腔内中鼻道の細菌叢を16S ribosome RNA遺伝子増幅によって次世代シークエンサーで検討した。その結果非好酸球性副鼻腔炎(25名)では、好酸球性副鼻腔炎(62名)に比較して、アルファー多様性が低く、Fusobacterium nucleatum(FN)の検出が有意に多く、LPS合成酵素とLPS合成物質が亢進していることが判明した。さらにFN由来のLPSは、気道上皮細胞株NHBE株におけるIL-4、IL-13刺激によるALOX-15産生を抑制した。対照の大腸菌由来LPSは、同様のALOX-15産生を抑制できなかった。ALOX-15は強い好酸球遊走因子である。このことは、非好酸球性副鼻腔炎におけるFNの存在が、自分のLPS産生によって上皮細胞からの好酸球遊走因子の産生を抑制し、好酸球浸潤を抑制方向に向かわせ、新規治療標的因子になる可能性を示していた。鼻茸を有する慢性鼻副鼻腔炎に対して行われたIL-4アルファ鎖抗体薬(デュピクセント)の臨床研究(SINUS-24とSINUS-52)において、アドホック解析として、嗅覚障害と味覚障害に関して、その回復度を検討したところ、嗅覚障害は自覚的にも客観的にも有意に改善を認めていた。その回復は味覚障害の回復とも有意な相関を認め、QOLスコアの改善とも相関するとともに、患者が訴える嗅覚障害は、患者の訴える味覚障害とも相関を認めた。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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