研究課題
本研究は、入院患者や外来患者において、日常的に発生していることが分かりつつある薬剤性有害事象について、診療中には薬剤性とは認識されず見逃されている、潜在的な薬剤性有害事象を電子カルテシステム上で自動的に予測し、検出するアルゴリズムを開発することを目的としている。2022年度は、急性期病棟入院患者における潜在的な薬剤性有害事象に関する前向きコホート研究を行い、対象施設の全診療科に入院した全患者を対象に、電子カルテシステムから経時的に患者背景(潜在的薬剤性有害事象リスク因子)を収集する予定であったが、新型コロナウイルス感染拡大のため、研究者が病院に訪問することが出来ず、データ収集を2023年度にかけて実施した。病院に訪問することが出来るようになった後、カルテ上の診療記録や看護記録、検査記録、画像診断情報などを基に、薬剤性有害事象の可能性がある診療イベントの抽出を行った。データ収集後に、研究者によるケースレビューを行い、客観的評価基準に従って薬剤性有害事象やエラーを分析した。薬剤性有害事象について、薬剤の種類、症状の内容、重症度、予後などの詳細について分類し、発生前後の診療経過や情報源、患者の健康被害に対する医療従事者の対応の有無や内容によって、診療中に医療従事者に薬剤性有害事象とは認識されなかった潜在的な薬剤性有害事象の同定を行った。これらの解析を通じて、潜在的な薬剤性有害事象を自動的に検出する汎用性の高いアルゴリズムを作成することができれば、日常診療において安全な薬物治療に繋がることが期待される。
2: おおむね順調に進展している
新型コロナウイルス感染の収束を受けて、研究補助員の雇用も行い、当初予定の研究データの収集は実施できた。データ処理を行った上で論文化の予定であり、概ね予定通り進んでいる。
本研究の収集データを機械学習に導入するためには、堅牢な薬剤有害事象の分類が必要である。そのため、薬剤性有害事象の可能性がある診療イベントのケースレビューには、十分な時間をかけて、客観的評価基準に従って薬剤性有害事象やエラーを分類し、アルゴリズムの作成に進める予定である。本研究で得られたアルゴリズムに関与する要因を分析することで、薬剤性有害事象のリスクが高い診療環境や医療行為の特性を明らかにすることができる。薬剤性有害事象のリスクが高い診療環境や医療行為、診療科などの特性を詳細に分析することで、薬剤自体の薬効や特性に加えて、複合的な要因やプロセスを解明することが出来れば、より安全な薬物治療の提供に繋げることが出来る。
すべて 2024 2023 2022
すべて 雑誌論文 (17件) (うち国際共著 1件、 査読あり 17件、 オープンアクセス 17件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 7件)
Journal of Patient Safety
巻: 20 ページ: 38~44
10.1097/PTS.0000000000001180
Journal of Obstetrics and Gynaecology Research
巻: 50 ページ: 849~855
10.1111/jog.15921
Archives of Physical Medicine and Rehabilitation
巻: 105 ページ: 539~545
10.1016/j.apmr.2023.10.017
American Journal of Cardiovascular Drugs
巻: 23 ページ: 721~733
10.1007/s40256-023-00611-7
International Journal for Quality in Health Care
巻: 35 ページ: mzad095
10.1093/intqhc/mzad095
巻: 35 ページ: mzad020
10.1093/intqhc/mzad020
Journal of Arrhythmia
巻: 39 ページ: 556~565
10.1002/joa3.12885
Urologia Journal
巻: 90 ページ: 151~156
10.1177/03915603221103438
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 14967
10.1038/s41598-022-19079-7
Journal of the Neurological Sciences
巻: 440 ページ: 120343~120343
10.1016/j.jns.2022.120343
Drugs in R D
巻: 22 ページ: 213~222
10.1007/s40268-022-00392-5
Hypertension Research
巻: 45 ページ: 1028~1036
10.1038/s41440-022-00855-x
巻: 438 ページ: 120278~120278
10.1016/j.jns.2022.120278
International Journal of General Medicine
巻: Volume 15 ページ: 7941~7949
10.2147/IJGM.S385798
CHEST
巻: 162 ページ: 1188~1198
10.1016/j.chest.2022.05.035
BMJ Quality Safety
巻: 31 ページ: 878~887
10.1136/bmjqs-2021-014280
International Journal of Environmental Research and Public Health
巻: 19 ページ: 3123~3123
10.3390/ijerph19053123