研究課題/領域番号 |
21H03180
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山崎 渉 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (70393262)
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研究分担者 |
長尾 美紀 京都大学, 医学研究科, 教授 (80523993)
松村 康史 京都大学, 医学研究科, 准教授 (80726828)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 新型コロナウイルス / 高感度検出 / 唾液 / マガキ |
研究実績の概要 |
新型コロナウイルスの環境動態調査:前年度からの継続していた市販マガキの調査を完了し、供試した145サンプルすべてが新型コロナウイルス陰性であることを確認した。すべてのサンプルに内部陽性対照として添加したPEDV(豚コロナウイルス)はすべてのサンプルから予想どおり検出されたことから、正しい手技によって調査が行われたことは明白である。日本では養殖マガキの喫食によって、新型コロナウイルスに感染する可能性は極めて低いことが示唆された。また、マガキが自然界における新型コロナウイルスの感染環を担っている可能性も極めて低いことが示唆された。欧州の研究者からマガキから新型コロナウイルスの遺伝子を検出したとの複数の報告がされているが、いずれもウイルス粒子と遺伝子断片を区別することなく、RNAを抽出したうえでリアルタイムRT-PCR検査を行っており、遺伝子断片を除去し、ウイルス粒子からの遺伝子検出を行った本研究とは手法が異なる。現時点でマガキの喫食による新型コロナウイルス感染の報告は全く無い。それゆえ、欧州からの既報は感染性を有しない遺伝子断片を検出し、新型コロナウイルスへの感染リスクを過大に評価している可能性が示唆された。
新型コロナウイルスの唾液からの高感度検出法の開発:前年度からの課題となっていた唾液成分に起因する濃縮阻害は、2つの前処理を行うことで解決できることが明らかになった【(1)唾液へのセミアルカリプロテネースの室温15分感作。(2)粗遠心処理(4,000-12,000 g・5分)。】。これにより検査方法の確立にむけた基礎情報を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マガキの調査を完了し、唾液からの新型コロナウイルスの高感度検出法の開発においても、実用化につながるデータを得ることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
唾液からの新型コロナウイルスの高感度検出法の開発を完了し、性能評価を実施する。
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