研究課題
本研究では,自己身体として身体認知を可能にするサイボーグ義手の開発とその方法論を構築し,生来身体に近づいた自然な操作感を実現する次世代の実用的なサイボーグ義手の実現を目的とする.2023年度の成果は以下の3点である.a) 身体認知を促進させる運動意図に同期した体性感覚フィードバックとして,義手の指先圧力を振動刺激でフィードバックする触覚FBは身体認知を向上させるが,アクチュエータの振動のようなIncidentalフィードバックでも同様の効果が得られる可能性がある.義手の手首角度を締付圧で刺激する深部感覚FBでは,前腕・上腕義手ともに視覚的認知負担を減少させ,身体所有感をわずかに向上させる可能性があることを示した.b)操作集中や操作負担を軽減するサイボーグ義手の制御手法として,把持動作の準備動作時の筋電の過渡特徴を情報エントロピーにより検出し,その筋電特徴から4種の把持姿勢を高い推定精度で推定可能な手法を提案し,従来の筋電義手操作に比べて動作遅延が減少したこと,操作集中が不要かつ筋活動量が健常手での操作の±5%以内で操作可能であることをサイボーグ義手の実機使用で示した.また,距離画像特徴から深層学習により把持姿勢を推定し,筋電で動作決定を行う手法も開発し,日常生活で使用する物体の形状に対して,被験者の筋配置によらず高い識別精度で直感的に操作可能であることを示した.c)生体信号センサ,コントローラ,ハンド・アームを一体化したサイボー義手を構築した.また手の機能分離を考慮し日常生活動作を満たす軽量かつ高い把持機能を有する柔軟な皮下組織を持った4自由度ロボットハンドを実現した.構築したサイボーグ義手(上腕)を東海大学医学部と連携し4名の上腕切断者に適用し,身体機能評価を行い,日常生活に必要な動作が可能であることとより高い身体認知で操作可能であることをヒアリングにより明らかにした.
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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