リン脂質は生体膜を構成する主要な脂質であるが、リン脂質に結合している脂肪酸種の制御に関する研究の歴史は浅く、組織レベルでの解明や組織の機能に及ぼす影響についての検討は遅れている。その理由として、脂質はゲノムに直接コードされないため解析が難しいことや、抗体を用いた検出が難しいことなどが考えられる。本研究課題では、骨格筋の筋線維タイプによるリン脂質分子種の相違を手がかりに、“生体を構成する脂質の質”と生体機能の関係性まで踏み込んだ解析を実施した。今回の研究成果は、栄養学における脂質の新たな意義を見出し、栄養学の新しい研究領域の開拓や新概念の提唱につながることが期待される。
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