血管新生は生体の恒常性維持にとって必須な生理的現象であり、促進因子と抑制因子のバランスが保たれるように制御されている。しかし、バランスが崩れると、多彩な病態に関与する。研究代表者らは、がん細胞膜表面発現抗原に対する抗体と光感受性物質を結合させた化合物と近赤外光によって、がん細胞のみを機械的細胞死へ誘導する方法を開発し、光免疫療法と名付け報告してきた。さらに、血管内皮細胞に発現するタンパクを標的とした光免疫療法によって新生血管の傷害から抗腫瘍効果を誘導する方法を開発した。本研究課題では主に非腫瘍性疾患における病的新生血管の制御を目的として、病的血管新生が関与する非腫瘍性疾患マウスモデルを複数種作製した。光感受性VEGFR-2抗体化合物を合成しマウスモデルに投与後、近赤外光を病変部位へ照射することで、抗体化合物による蛍光イメージングが可能であった。また、近赤外光照射による病態の制御が可能となることも見い出した。現在治療効果誘導の最適化に向けた検討、および、作用機序の解明を行っている。
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