研究課題/領域番号 |
21H04375
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
横山 智 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30363518)
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研究分担者 |
藤本 武 富山大学, 学術研究部人文科学系, 教授 (20351190)
小林 知 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (20452287)
山本 宗立 鹿児島大学, 総合科学域共同学系, 准教授 (20528989)
平田 昌弘 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (30396337)
大澤 由実 青山学院大学, 地球社会共生学部, 助教 (40822630)
和田 崇之 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (70332450)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 発酵食 / 在来知 / 菌叢解析 / ドメスティケーション / アジア |
研究実績の概要 |
2022年度は、COVID-19の流行が落ち着いたことで7月以降に海外渡航が可能となり、タイ、ラオス、カンボジア、ガーナで予備調査を行うことができた。遅れていたラオス国立農林業研究所(NAFRI)とカンボジア王立農業大学(RUA)と共同研究契約を締結し、ラオス政府とABS規制に基づくPICとMATを締結し、国際ABS-CHに掲載された。さらに、科研メンバーと共同で第28回名古屋大学博物館特別展『世界の発酵食をフィールドワークする』(2022/3/22-9/24)を企画・開催した。国内での調査も再開し、後発酵茶に関する調査を愛媛県、富山県、福井県で実施した。また、京都における伝統的発酵食品である大徳寺納豆、および全国に点在する醤油蔵における発酵途上試料収集を開始した。 海外では、ラオスの発酵食品のインベントリ作成を目的として、ラオス南部で餅麹、醸造酒、蒸留酒、魚介類調味料、肉類発酵食の製造方法に関する予備的な調査を行った。タイにおいては、発酵調味料の味の嗜好とその地域比較を目的とする味の実験を計画し、12月にタイ北部のチェンマイ大学において大学生を対象とした実験を行なった。また、カレン族を中心としたタイ少数民族の発酵食の利用についての予備調査を行なった。カンボジアにおいては、農村社会における過去の調査データを再検討し、また同国の発酵食品の生産・流通・消費に関して情報の収集を進め、COVID-19感染拡大以後の農村生活の状況と日常食としての発酵食品の生産と消費について参与観察を行った。また、RUA食品産業学部と共同研究の打ち合わせを行った。そして、西アフリカ・ガーナで納豆様の発酵調味料(ダワダワ)、ローカルビール(ピト)に関する現地調査を実施した。ダワダワは、自生する灌木ヒロハフサマメノキの種子が本来原料であるが、近年は大豆を原料にして作ることが増えていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の影響により、初年度の2021年度にラオス国立農林業研究所からラオス政府へのABS申請ができず、2022年度にずれ込んだが、NAFRIはABS申請が未経験であることから、ABS取得までに時間を要し、予定していたラオスでの本格調査とサンプル取得ができなかった。そのため、予算の一部を翌年度に繰り越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
遅れていたラオス国立農林業研究所(NAFRI)とカンボジア王立農業大学(RUA)と共同研究契約を締結し、ラオス政府とABS規制に基づくPICとMATを締結したため、両国から、遺伝資源サンプルを持ち込むことが可能となった。 また、海外渡航もCOVID-19以前の状況に戻りつつあり、2022年度はタイ、ラオス、カンボジアでの予備調査は終了したため、今後は研究対象地域である東南アジアを中心として、海外調査を精力的に実施して遅れを取り戻すことに注力する。
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