研究課題/領域番号 |
21H04391
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
増田 知子 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (10183104)
|
研究分担者 |
岡崎 哲二 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 教授 (90183029)
佐野 智也 名古屋大学, 法学研究科, 特任講師 (30419428)
松本 朋子 東京理科大学, 教養教育研究院神楽坂キャンパス教養部, 講師 (50783601)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
|
キーワード | 富裕層 / 人事興信録 / 階級 / 軍閥 / 大正デモクラシー / 歴史情報データベース |
研究実績の概要 |
1 近代日本の政治経済社会における富裕層の階層的、階級的変化の解明という研究目的に基づき行ってきた『人事興信録』のデータベース化について、第6次科学技術基本計画における人文社会科学の「総合知」創出のための研究データとしてどのように位置づけることができるのかにつき検討を行い、日本学術会議のシンポジウム「総合知創出に向けた人文・社会科学のデジタル研究基盤の構築の現在」(2022年1月22日)において報告を行った。 2 『人事興信録』の第七版から第十版までの四つの連続した版を使って採録者の変化を分析し次の知見を得、論文として発表した。 ・1度の改訂により、採録者が3~4割程度入れ替わっていることが明らかになった。 ・テキストマイニングを用いて、継続率と職業に用いられている用語の関係を調査した。これにより、時期ごとに継続率が低い傾向にある業種を発見できることがわかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1 『人事興信録』を通じて社会経済政治の変化を捉えるために、第七版から第十版までの四つの連続した版を使って採録者の変化を分析した。 2 『人事興信録』の連続した変化を捉えるために、まだデータ化していない第二版、第五版、第六版のテキストデータ化を進めた。 3 帝国議会貴族院・衆議院の議事録(大正7年~昭和2年)につき、OCRによるテキスト化を行い、人事興信録データと立法過程のデータとを紐づける作業を開始した。 4 『日本全国諸会社役員録』(明治35年、大正3年、昭和2年、8年)のテキスト化作業を開始した。 5 『人事興信録』は、従来からレファレンス資料として広く利用されており、検索データベースとしての需要も高い。そこで、研究成果の一部として、「『人事興信録』データベース」を一般公開しているが、本年度は、第四版・第八版に加えて初版を公開した。
|
今後の研究の推進方策 |
・2022年度は、昨年度の「人事興信録」データベース作成の進捗状況をふまえ、主に1920年代のデータベースの整備を進める。 ・国立国会図書館のデジタルコレクションで公開している帝国議会貴族院、衆議院の各議事録データ(PDF)を検索可能にするためのデータベース化作業を進め、1920年代の議事録データベースの整備を進める。 ・第1次大戦期の富裕層の増大という社会状況に対応した原敬内閣期の主要な立法政策を取り上げ、立法過程における富裕層・エリートの経済的利害、政治的志向を分析するために、議事録、発言者、人事興信録データを紐づけるデータベースの作成に着手する。 ・各種データベース作成と並行して、帝国議会議事録の立法政策をめぐる議論の特質について、政治史のオーソドックスなアナログ的手法も用いた分析を行う。それにより、大戦期に急速に富裕化した中間層の経済階級化、政治階級化の特徴、社会改革、経済的利害、政治的利害の対抗を把握し、仮説を構築する。また、その作業・分析を通じて、データベースを使った情報処理の「正解例」を蓄積させる。
|