研究課題/領域番号 |
21H04417
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研究機関 | 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所 |
研究代表者 |
石黒 圭 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 教授 (40313449)
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研究分担者 |
柳瀬 隆史 富士通株式会社(富士通研究所), その他部局等, 研究員 (20417190)
伊集院 郁子 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 教授 (20436661)
村岡 貴子 大阪大学, 国際教育交流センター, 教授 (30243744)
衣川 隆生 日本女子大学, 文学部, 教授 (30282289)
山口 昌也 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 研究系, 准教授 (30302920)
浅井 達哉 富士通株式会社(富士通研究所), その他部局等, 研究員 (40399720)
田中 啓行 中央学院大学, 法学部, 准教授 (40779774)
横野 光 明星大学, 情報学部, 准教授 (60535863)
金井 勇人 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (70516319)
西谷 まり 一橋大学, 森有礼高等教育国際流動化機構, 教授 (80281004)
迫田 久美子 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 名誉教授 (80284131)
李 テイ 日本大学, 文理学部, 助教 (20780191)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2026-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 第二言語習得研究 / 誤用分析 / 印象評価分析 / 学習者コーパス / 縦断作文コーパス / 対訳データベース / 文章執筆過程 |
研究実績の概要 |
分析の資料となる日本語作文収集のために、中国7大学、台湾2大学、韓国2大学、ベトナム3大学、タイ2大学、フランス1大学、スロべニア1大学、イギリス1大学の計19大学との共同調査体制を維持・拡大し、海外の大学で日本語を専攻する学部1~4年生学習者999名(開始時)を対象に、本年度に3回(今年度に調査を開始した1大学は1回のみ)、計1,691本の作文データを収集した。拡大調査分のタイ・欧州の調査は進行が遅いものの、当初計画にある中国、台湾、韓国、ベトナムでは予定どおり3~4年生の調査に入っており、調査は間もなく終了の見込みである。 現状はデータの収集・整備が中心であるが、データ分析および印象評価についても試行的な分析を継続しており、2024年度から分析が本格化できるよう、研究分担者との会議を重ねている。データ分析については、誤用のアノテーションをどのように付与するかについて、形態素解析の誤解析を修正するアノテーション、いわゆる学習者の誤用を修正するアノテーションの2種に分け、人手による修正とテキスト生成AIを用いた修正を比較し、検討を行っている。また、印象評価についても、印象評価班が2022年度に試行調査を経て作成した評価基準に従って、クラウドソーシングに発注して印象評価データを収集を行った。 成果発信については、本研究内容の紹介、および研究遂行に付随する試験開発の成果について、1件の口頭発表、1件のポスター発表、1件のワークショップ、6件の講演、および1件の論文を発表したほか、2024年3月に東呉大学(台湾)でNINJALチュートリアルを対面開催し、本コーパスの概要と分析事例の紹介を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3年目である2023年度は、作文データの収集の継続、およびデータの誤用分析・印象評価分析の検討が予定されていた。 作文データの収集については、海外の8ヶ国・地域、19大学(同14大学)との連携協力に基づき、日本語学習者999名(開始当初)から調査協力が得られたことで一定の成果が得られたと考えられる。なお、残念ながら途中辞退者が少なくなく、開始時よりも調査対象者の人数は減少しているが、個々の学生は学年が上がるにつれてそれぞれの事情を抱えることも多く、やむをえない面があると考える。 一方、データの誤用分析・印象評価分析については、分科会はほぼ毎月開催し、その進捗状況を確認しているほか、年2回開催した全体会では、2024年度に執筆に着手する論文集の執筆内容および役割分担について確認を行っており、おおむね順調であると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
データ収集の関連では、回数を重ねるごとに減少する調査協力者の数を可能なかぎり食い止めることが求められる。こうした現状にたいしては、学習者の書いた作文へのフィードバックを継続し、モチベーションの維持を図るほか、調査対象者に日本語学習の多様な機会を提供するなど、これ以上の人数減にならないような工夫を重ねているところであるが、調査協力者が4年間の調査を終了した時点で修了証を発行するなど、新たな工夫も行いたいと考えている。 また、データの誤用分析や印象評価分析などについても、2024年度以降は本格的な分析が行えるよう、それぞれのチームの検討を加速させることが期待される。これについても、2024年度のできるだけ早期に匿名化処理の終了したデータの共有化を図り、共通したデータに基づく分析を予定している。
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