研究実績の概要 |
本研究計画はオーストラリアの低周波電波干渉計実験であるMWAに参加し、世界初の宇宙再電離期からの中性水素21cm線シグナル検出を目指すものである。。特にすばるHSCのLAEを用いた相互相関、および明るい背景天体からの吸収線(21cm forest)を用いて前景放射の影響を軽減し、検出を目指すことに特徴がある。今年度の研究実績概要は以下の通りである。 すばるHSCで探るLyα輝線銀河:すばる望遠鏡の超広視野主焦点カメラHSC1で広領域深撮像観測が完了し、Lyα輝線銀河(LAE)2 のサンプルを再構築した。宇宙再電離源としてLAEの星間物質から放出される高エネルギー光子(Lyman continuum photon)の量を推定し、その影響は無視できるほど小さいことを示した(Umeda et al. 2022)。宇宙再電離直前のLAEの探索も行ない、その数密度や光度関数を求めた(Harikane et al. 2023)。 低周波電波観測で探る中性水素:MWAで宇宙再電離期の中性水素の21cm線の観測を行なった。人工電波の除去のために、時系列データの非ガウス性を利用するアルゴリズムを開発した。Parkesで大マゼラン雲のパルサーと高速電波バーストの探査を行ない、偏波解析の効率的なアルゴリズムを開発した(Hisano et al., ApJ, 2022; Cooray et al., PASJ, 2023)。 CMBと21cm forestで探る宇宙再電離:CMBを用いて宇宙再電離の様子を将来的にどこまで明らかにできるかについて、主成分分析の方法で検討した(Sakamoto et al., ApJ, 2022)。21cm forest観測を想定してCDMサブストラクチャーの影響を見積もり、シグナルが1割ほど大きくなることを見出した(Kadota et al., JCAP, 2023)。
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