研究課題/領域番号 |
21H04491
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
酒向 重行 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90533563)
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研究分担者 |
山本 泰生 静岡大学, 情報学部, 准教授 (30550793)
根來 均 日本大学, 理工学部, 教授 (30300891)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 時間軸天文学 / 広視野サーベイ / 高速観測 / 多波長観測 / 異常検知 |
研究実績の概要 |
本研究では木曽広視野動画カメラTomo-e Gozenが世界で唯一取得できる広視野かつ高頻度の測光ビッグデータに、オンライン異常検知法を主体としたデータ駆動型手法を導入することで、今まで見過ごされてきたhoursからsub-secの時間スケールを持つ変動現象を探査する。検出された変動パタンを天文学的に分類した後、科学的に興味深い現象に対して多波長の迅速な追観測を実施する。 本年度は、東京大学木曽観測所を学術情報ネットワークSINET6の松本DCに接続する回線工事とオンサイトのデータストレージ環境の整備を実施した。また、Tomo-e Gozenが日々獲得する広視野動画の各フレームに検出される天体像を測光し、時間軸方向に関連付けることで大量の測光時系列データを得るソフトを開発した。 ノイズフルな測光時系列データに有効な異常検知法の調査と手法の開発を行なった。はじめに、低頻度の突発的スパイク検出に有効な手法として知られる Random Cut Forest (RCF)を取り上げ、実際の測光時系列データに突発パタンを付加したシミュレーションデータをもとに性能評価を行った。次に、測光データが独立同分布の時系列に由来することに着目し、確率不等式に基づくオンライン異常検知法を提案した。ベンチマークデータに対する実験を通して、RCFに比して提案法が良好な検出性能を得ることがわかった。 Tomo-e GozenとNICERによる矮新星の可視X線同時観測データの解析を進めた。また、全天X線監視装置MAXIで検出した突発現象をTomo-e Gozenで自動で即時追観測するシステムの開発を進めた。近年発見されたX線新星についてもTomo-e Gozenのデータを用いて長期にわたる可視光での変動の調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SINET6への接続工事がSINET側の都合により2021年度内に完了しなかったものの、2022年度には計画通り完了した。これにともない、測光時系列データのデータベースの構築は計画よりやや遅延している。一方、他の研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に従い、測光時系列データのデータベースの構築と時系列データに対する高速かつ高信頼な異常検知法の開発を進める。また、Tomo-e GozenとMAXIの連携、およびNICERとの可視X線同時観測を実施する予定である。
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