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2023 年度 実績報告書

供用継続しながら構造性能を改変できるメタボリズム構造の展開

研究課題

研究課題/領域番号 21H04574
研究機関京都大学

研究代表者

高橋 良和  京都大学, 工学研究科, 教授 (10283623)

研究分担者 秋山 充良  早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00302191)
聲高 裕治  京都大学, 工学研究科, 教授 (80343234)
北根 安雄  京都大学, 工学研究科, 教授 (10444415)
山本 貴士  京都大学, 経営管理研究部, 教授 (70335199)
石川 敏之  関西大学, 環境都市工学部, 教授 (00423202)
倉田 真宏  京都大学, 防災研究所, 准教授 (70624592)
植村 佳大  京都大学, 工学研究科, 助教 (80882133)
研究期間 (年度) 2021-04-05 – 2025-03-31
キーワードメタボリズム / 柱 / 鋼構造 / 耐震 / 数値解析 / ハイブリッドシミュレーション
研究実績の概要

昨年度までに、地震後復旧時に残留変位がゼロに戻る復旧時セルフセンタリング機能を実現させることを目的として,可換部を鋼部材とし、永続部に鋼管拘束コンクリートヒンジを用いたメタボリズム柱構造の正負交番載荷実験、可換部の取り替え実験を実施した。本実験に対し、数値シミュレーションによる再現解析を試みた。主な検討内容は下記の通りである。
鋼製可換部を座屈挙動を表現するためにシェル要素、永続部をファイバーモデルを用いた断面要素によりモデル化し、①永続部モデルのみによる正負交番載荷解析→②鋼製可換部の取付→③鋼製可換部+永続部モデルによる正負交番載荷解析→④鉛直荷重支持したまま可換部取り外し→⑤永続部モデルのみによる正負交番載荷解析を、一連の数値シミュレーション(解析コードOpenSees)により実施、実験結果と比較した。従来の解析では、初期剛性が実験より過大に評価され、また座屈発生が早期に発生する結果となっていたところ、基部に回転ばねを導入することにより、実験結果との一致度が高くすることができた。これにより、鋼製可換部+永続部モデルによる実験での永続部に損傷が蓄積し、永続部単体でのセルフセンタリング性能が変化することが変化することを解析的にも再現することができた。
また、リアルタイムハイブリッドシミュレーション技術の高度化に関する研究では、試験機の制御遅延に対する補償法として荷重ベース補償法に着目し、実験供試体の部材情報から簡易的な非線形モデルを作成し,そのモデルを用いて計測荷重を随時補償する手法を提案した。提案手法を、加力実験と振動台を用いて検証予定であったが、振動台の動作不良のため、代わりに既存のDSP(ハイブリッドシミュレータ)を用い、実験模型を再現するモデルを組み込むことで、数値的に検討を実施し、その補償効果を検証した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

メタボリズムを実現するためのコア技術である永続部について、地震時の挙動により、可換部取替後の性能が変化すること(損傷すること)が課題となり、数値シミュレーションによる性能変化の予測が課題であった。本年度の検討により、可換部取り外し、取り替えを含む一連の数値シミュレーションが可能となり、永続部単体でのセルフセンタリング性能が変化することが変化することを解析的にも再現することができたため、最終年度の取りまとめに向け、重要な成果を得ることができた。
一方、試験機を用いて検証する予定であったハイブリッドシミュレーションの高度化では、振動台の動作不良のため、代わりにDSPに実験模型と振動台の挙動を再現するモデルを組み込むことで、数値的に検討を実施した。これらは試験機を用いた検討も実施したい。

今後の研究の推進方策

・セルフセンタリング機能を有する永続部を有する鋼製可換部柱の載荷実験を実施する。
・鉛直荷重を支持しながら可換部を取り替える過程を数値シミュレーションで再現するための手法を確立する。
・ハイブリッドシミュレーションの高度化について、試験機を用いた検証を実施する。
・土木学会・ASCEの社会基盤レジリエンスフレームワークを参照し,構造性能を変化できることを前提とした将来の要求性能の予測とその持続可能性評価を試みる。
・実大構造を想定したメタボリズム柱の試設計を実施する。
・本研究で得られた結果を取りまとめ、メタボリズム構造が社会の持続可能性を支援する総合技術となり得ることを示す。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 2件、 査読あり 8件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 外径150mmの角形鋼管に適用するボルト式十字形柱継手の構造性能と設計2024

    • 著者名/発表者名
      聲高 裕治, 黒石 悠介, 來本 雅之, 立石 一, 桐山 伸一
    • 雑誌名

      日本建築学会構造系論文集

      巻: 89 ページ: 109~120

    • DOI

      10.3130/aijs.89.109

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Investigation of low‐disturbance seismic retrofit method for steel column bases using curved members2024

    • 著者名/発表者名
      Lin Kun‐Sian、Kurata Masahiro、Kawasaki Yutaro、Kitatani Yoshio
    • 雑誌名

      JAPAN ARCHITECTURAL REVIEW

      巻: 7 ページ: e12429

    • DOI

      10.1002/2475-8876.12429

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 2層式RCラーメン高架橋の地震後構造性能とサービス水準に関する考察2023

    • 著者名/発表者名
      畠山琴羽, 植村佳大, 高橋良和
    • 雑誌名

      土木学会論文集

      巻: 79 ページ: 22-13027

    • DOI

      10.2208/jscejj.22-13027

    • 査読あり
  • [雑誌論文] リアルタイムハイブリッドシミュレーションにおける変位・速度・加速度の再現性2023

    • 著者名/発表者名
      三善佑斗, 上田知弥, 津田葉涼太, 植村佳大, 高橋良和
    • 雑誌名

      土木学会論文集

      巻: 79 ページ: 22-13033

    • DOI

      10.2208/jscejj.22-13033

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Scaled dynamic loading tests on seismic isolation bearing excluding the contamination of friction and inertia forces2023

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi Toru、Takahashi Yoshikazu、Umemura Yukio、Terazawa Yuki、Uemura Keita、Ueda Tomoya
    • 雑誌名

      Engineering Structures

      巻: 296 ページ: 116844~116844

    • DOI

      10.1016/j.engstruct.2023.116844

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Development of reinforced concrete column with embedded concrete hinge and lateral restraints for Anti-Catastrophe oriented design2023

    • 著者名/発表者名
      Uemura Keita、Goto Kento、Yamamoto Shinya、Takahashi Yoshikazu
    • 雑誌名

      Engineering Structures

      巻: 296 ページ: 116903~116903

    • DOI

      10.1016/j.engstruct.2023.116903

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Shear behavior of reinforced concrete beams repaired using a hybrid scheme with stainless steel rebars and CFRP sheets2023

    • 著者名/発表者名
      Hasan Md Abul、Akiyama Mitsuyoshi、Kojima Keisuke、Izumi Naoki
    • 雑誌名

      Construction and Building Materials

      巻: 363 ページ: 129817~129817

    • DOI

      10.1016/j.conbuildmat.2022.129817

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] 鋼材腐食させたPCはりのプレストレスおよびせん断耐荷特性に関する実験的検討2023

    • 著者名/発表者名
      橋野哲郎,田邊睦,柘植啓亮,山本貴士
    • 雑誌名

      コンクリート工学年次論文集

      巻: 45 ページ: 571-576

    • 査読あり
  • [学会発表] 計算負荷増加によるリアルタイムハイブリッド実験の精度低下に関する理論的考察2023

    • 著者名/発表者名
      津田葉涼太
    • 学会等名
      第26回橋梁等の耐震設計シンポジウム
  • [学会発表] 面内せん断型クラックを実装したX-FEMモデルによるRC柱のひび割れ進展解析2023

    • 著者名/発表者名
      市川大颯
    • 学会等名
      第16回日本地震工学シンポジウム
  • [学会発表] E-アイソレーション:高精度荷重計測機構を有する実大動的免震実験装置2023

    • 著者名/発表者名
      高橋良和
    • 学会等名
      第16回日本地震工学シンポジウム
    • 招待講演
  • [図書] Infrastructure System Resilience: An Engineering Framework for Assessment, Management, and Governance2023

    • 著者名/発表者名
      Craig A. Davis, Bilal M. Ayyub, Riki Honda, Kiyoshi Kobayashi, Toshio Koike, Sue McNeil, Masamitsu Onishi, Yoshikazu Takahashi, Hirokazu Tatano, John van de Lind
    • 総ページ数
      94
    • 出版者
      American Society of Civil Engineers
    • ISBN
      9780784485088
  • [備考] 京都大学工学研究科社会基盤工学専攻構造ダイナミクス分野

    • URL

      http://dynamics.kuciv.kyoto-u.ac.jp

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公開日: 2024-12-25  

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