研究実績の概要 |
(A)核小体ストレスーp53経路:核小体において、rRNAはPICT1とRPL18の3者で結合しているが、rRNAが減少すると、PICT1とRPL18の結合が減弱し、これによってPICT1の安定性が失われて、核小体ストレスを引き起こすこと、すなわち核小体ストレスの初期感知機構をin vitroで明らかにした。 またin vivoでは、生後タモキシフェン誘導性にRPL18を欠損するマウスでは、PICT1が発現減弱し、p53が増加して造血障害をみること、またこの造血障害はp53の増加に部分的に依存することを見出した。 (B)PTEN経路: 新たに見出した、PTENを不安定化作用する3分子(A,B,C)については、A、BがPTENのSUMO化を、CがPTENのユビキチン化を制御すること、A, B, Cの各欠損がPTEN依存性に癌細胞の増殖抑制を示すこと、これら分子はPTENと直接結合することをin vitroで見出した。またin vivoではAのヘテロ欠損マウスは生存するが、ホモ欠損マウスは出生後すぐに死亡することまで見出した。 (C)Hippo経路: siRNAスクリーニングにより、YAP/TAZを強力に増強する分子Dを見出した。そこで、その作用機序を検討したところ、YAP/TAZを抑制するVGLL4のmRNAに結合し、その転写や翻訳を抑制することで作用することをin vitroで見出した。またin vivoでは分子Dの肝臓特異的なトランスジェニックマウスの作成を終了し、このマウスはYAP/TAZ活性が上昇して肝腫大をみることまでを、見出している。 さらに脂肪組織におけるHippo経路の抑制は、脂肪細胞の腫瘍化はみないものの、肥満抵抗性や糖代謝改善に働くことも見出した。
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