研究課題/領域番号 |
21H04818
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
川上 秀史 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 教授 (70253060)
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研究分担者 |
六車 恵子 関西医科大学, 医学部, 教授 (30209978)
宮本 達雄 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (40452627)
多田 有似 広島大学, ゲノム編集イノベーションセンター, 特任助教 (90881285)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2025-03-31
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キーワード | 筋萎縮性側索硬化症 / ロングリードシーケンサー / 眼咽頭遠位型ミオパチー |
研究実績の概要 |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動神経の変性により、四肢の筋力低下、構音障害、嚥下障害、呼吸筋麻痺をきたす神経変性疾患です。これまでに30個以上の原因遺伝子が報告されていますが、まだ同定されていない原因遺伝子は多く存在すると考えられています。 私達は、家族性ALSの2家系を対象にロングリードシーケンサーによる全ゲノム解析を行いました。そして、ALS発症者がLRP12遺伝子の5’非翻訳領域のCGGリピート伸長を有していることを見出しました。このリピート伸長をALS患者1039名に対してスクリーニングを行い、3名にリピート伸長を認めました。また、東北大学コホートの家族性ALS40家系を用いたスクリーニングでは、2家系がリピート伸長を有していることが明らかになりました。さらに、これらの患者のCGGリピート長が100リピート以下であり、通常100リピート以上である眼咽頭遠位型ミオパチー (OPDM)患者より短いリピート伸長であることを発見しました。 リピート長の違いがどのような機序でALSとOPDMの違いを生み出すのかを明らかにするため、筋およびiPS細胞から分化させた運動神経を用いた解析を行いました。ALS患者の筋では、LRP12遺伝子のRNA発現量は増加する傾向にあり、筋および運動神経では、ALSがOPDMより多くのRNA fociを形成していました。また、ALS患者由来の運動神経のみに細胞質内のリン酸化TDP-43を認めました。一方、OPDM患者由来の筋では、筋の機能維持に重要と考えられているMBNL1タンパクがリピートRNAと共に蓄積していました。この所見はALS患者の筋では認めませんでした。 以上のように、LRP12遺伝子のCGGリピート伸長がALSの原因となること、リピート長の違いがALSとOPDMそれぞれを異なる機序で発症させることを明らかにしました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
筋萎縮性側索硬化症の原因遺伝子を新たに同定し、さらにそのメカニズムに関して、貴重な示唆を得た。
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今後の研究の推進方策 |
本研究で同定したLRP12遺伝子のCGGリピート伸長に対する遺伝子治療の開発を行うことにより、ALSの一部が治療可能となる可能性があります。また、CGGリピート伸長がリン酸化TDP-43の細胞質内局在をきたす機序を解明すれば、LRP12遺伝子以外の原因によるALSの病態の解明や治療法の開発につながる可能性があると考えます。
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