研究課題
様々な用途のために化学的に合成されたナノ粒子が、生体や細胞に対してどのような影響を及ぼすかという観点の毒性学的研究、すなわち外来性のナノ粒子の毒性研究は、これまで数多くなされてきた。しかし、毒性が高いとされている水溶性の金属元素が動物細胞に曝露された場合、元素状つまり不溶性のナノ粒子を形成し、生体分子との相互作用を低下させることにより、解毒を図るという機構が動物細胞にも存在することが明らかになりつつある。本来、動物は生活環境に合わせて、環境から曝露される化学物質を代謝し、排泄するという解毒を行っているが、細胞内でナノサイズの不溶性含金属粒子(バイオジェニックナノ粒子)を生成し、必ずしも排泄を伴わない毒性の低減という代謝機構の存在を示唆するという毒性学のパラダイムシフトを目指して、その機構を明らかにしていくことが本研究の目的である。最終年度である本年度は、これまでテルルという産業上有用な半金属元素の単細胞藻類及び高等植物におけるバイオジェニックナノ粒子生成の機構を明らかにしたが、いよいよ動物細胞における生成機構について明らかにすることができた。また、長年懸案となっていた植物内でのバイオジェニックナノ粒子形成よりも低濃度で出現する未知のテルルの主要代謝物の同定についても成功した。いずれも研究終了時においては、論文投稿中である。さらに、ナノ粒子の新規分析法であるAsymmetric Flow Field Flow Fractionation (AF4)と誘導結合プラズマ質量分析計を組合わせた分析法の構築も果たした。
令和5年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 10件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (16件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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