研究課題/領域番号 |
21H04926
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梶井 克純 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (40211156)
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研究分担者 |
佐藤 圭 国立研究開発法人国立環境研究所, 地域環境保全領域, 室長 (10282815)
河野 七瀬 近畿大学, 理工学部, 講師 (40736766)
坂本 陽介 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (50747342)
定永 靖宗 大阪公立大学, 大学院工学研究科, 准教授 (70391109)
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研究期間 (年度) |
2021-04-05 – 2024-03-31
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キーワード | 光化学オキシダント / RO2ラジカル / エアロゾル / 問い込み反応速度 / HOxサイクル / オゾン生成速度 / 不均一反応 |
研究実績の概要 |
エアロゾルへの過酸化ラジカルの取り込みを実測するべく、大気集中観測を国立環境研究所キャンパス内にて実施した。夏季集中観測により、取り込み係数の測定に加えて、VOC、RO2濃度、OH反応性などを2週間に渡り測定した。HO2の取り込み係数測定に加えて今回は初めてRO2取り込み実験に成功した。測定地点に流入する空気塊の履歴によりオゾン生成する能力が異なる興味深い結果が得られた。具体的にはオゾン生成に影響を与えるNOx、VOC濃度に加えてエアロゾル濃度が重要であることを指摘することができた。エアロゾルへのラジカルの取り込みはNOの酸化過程と競合することからオゾン生成に大きくきよすことが示された。室内実験では、HO2ラジカルの標準エアロゾルへの取り込みについて、ドープする遷移金属イオン(FeおよびCu)の濃度依存性と、pH依存性について調べた結果、pHに強く依存しており、その振る舞いが複雑であることから従来の溶液反応では説明できない現象について検知した。従来はエアロゾル内部をバルク(溶液と近似)として扱いHO2が塩基性雰囲気かでプロトン脱離する過程が律速と考えられてきたが、さらに別のプロセスが律速を与えるということが示された。RO2についても同様なpH依存性が示され、従来の理論では不十分であることが明らかとなった。RO2とNO2の反応の速度定数を決定した。RO2として、アルキル鎖の数と正反応の依存性を調べその反応の律速因子につて検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に研究が進捗している。RO2とNO2反応の速度定数計測では、対象とするRO2が複数存在することから、多くの実験を実施しているが、大気中で重要なRO2の網羅には至っておらず測定を継続している。2年目に計画した夏季集中観測は順調でありRO2のエアロゾルへの取り込み係数の実時間計測に成功した。また、オゾン生成速度を支配している要因として、VOC濃度、NOx濃度に加えてエアロゾルへのラジカルの取り込みが重要であることが集中観測の結果から実証された。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度では、計画通り種々のRO2のエアロゾルへの取り込み係数の測定を網羅的に進め大気中でのオゾン生成におけるエアロゾルの役割について総括する計画である。有機硝酸類はHOxラジカルとNOxとの反応で大気中で生成することから、これらのエアロゾルへの取り込み速度について実態を把握することで、オキシダント生成エアロゾルがどのように関わるのか、定性的および定量的に把握する計画である。
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