研究課題/領域番号 |
21H04995
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南條 創 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (40419445)
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研究分担者 |
野村 正 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (10283582)
田島 靖久 山形大学, 学士課程基盤教育機構, 教授 (50311577)
松村 徹 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 応用科学群, 准教授 (00545957)
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研究期間 (年度) |
2021-07-05 – 2026-03-31
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キーワード | 物質宇宙の起源 / CPの破れ / フレーバ物理 / 稀崩壊 |
研究実績の概要 |
KOTO実験では、物質ばかりの宇宙のなぞに迫るべく、中性K中間子のCPを破る崩壊を探索している。この主要な背景事象に、荷電K中間子の崩壊があることがわかったので、この削減に取り組んでいる。荷電K中間子を検出して事象を排除するためには、中性ビーム中に荷電粒子検出器を設置する必要がある。中性粒子が散乱されると別の背景事象が増えるので、低物質量ながら、高感度の荷電粒子検出器が必要である。このため、厚さ0.2mmのプラスチックシンチレータを用いた超低物質量荷電粒子検出器を考案した。2021年度は、この低物質量荷電粒子検出器の基礎となる、厚さ0.2mmのプラスチックシンチレータ、シンチレーション光の集光機構、光電子増倍管の基礎研究を行い、99.9%以上の検出効率を得られる目処がたった。2022年度以降に実機を開発する基礎となった。さらに、磁石により荷電K中間子をビームの外へ排除する計画で、これに必要な1Tに迫る磁場の永久磁石を設計し準備した。また、2022年度に加速器増強を終え、より高いビーム強度による実験を行う予定であり、それに合わせてKOTO実験のデータ収集システムを更新する。より高速にデータを受けとり、処理することができる計算機を用意し、GPUを用いた高速データ処理の研究を行った。また2021年に取得したデータの解析を進め、荷電K中間子背景事象を含む背景事象の評価を進めた。さらに、荷電π中間子がKOTO検出器と相互作用する際に、中性子が発生し、この中性子により検出器のヒットレートが上昇している可能性があるとわかった。この仮説を検証し、対応作を検討し、より高い効率でデータを取得できる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
超低物質量荷電粒子検出器の開発が予定どおり順調に進んだ。ビームライン下流の永久磁石の準備を前倒しで進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度の研究を基に、2022年度には実機サイズの超低物質量荷電粒子検出器を製作し、性能を評価し、実機を製作しKOTO実験に導入する予定である。また、2022年度には、永久磁石と組み合わせて、磁場を整える磁気回路の設計と製作を行い、2023年度にKOTO実験に導入する予定である。データ収集システムを完成させ、2023年に強度増強されたビームによる実験を行う。このデータを解析し、中性K中間子の稀崩壊を探索する。また、荷電π中間子起源の中性子の削減を検討する。
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