研究課題/領域番号 |
21K00011
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
新川 拓哉 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (20769658)
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研究分担者 |
宮原 克典 北海道大学, 人間知・脳・AI研究教育センター, 特任講師 (00772047)
濱田 太陽 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 客員研究員 (40842258)
西田 知史 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所脳情報通信融合研究センター, 主任研究員 (90751933)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 内観 / 意識 |
研究実績の概要 |
今年度は以下の三つの研究を主に実施した。 (1)意識経験の内観の理論のサーベイを行った。具体的には、意識経験の内観の理論には、外界の事物の知覚と類比的なメカニズムが内観の際にも働いているとする知覚説、意識経験を実現するメカニズムのうちに内観の機構が包含されており、意識経験そのものが内観的判断の構成要素になっているとする直知説、意識経験についての内観は、意識経験のうちに現れている世界のあり方からその意識経験それ自体のあり方を推論することに基づくとする推論説という三つの立場があることを明らかにした。 (2)現象学的な反省として特徴づけられるタイプの内観を支える神経メカニズムを特定するための神経科学的な実験研究を設計し、準備的な実験を行った。 (3)Declan Smithiesが提案する意識と内観の関係についての理論を検討・評価し、その問題点を特定した。なお、この研究成果の一部は、千葉大学の小草泰氏との共著でAsian Journal of Philosophyという学術誌に"A challenge to the phenomenal sufficiency thesis"というタイトルの書評論文として発表した。 その他にも関連研究として、内観によって捉えられる意識の現象学的特徴と道徳的地位の関係や、意識の機能についての概念的明確化についての研究を実施した。それぞれの研究成果の一部は、研究分担者と共著で"Human Brain Organoids and Consciousness"とFunctions of consciousness: conceptual clarification"という論文に組み込み、海外学術誌より発表した(詳細は研究業績を参照)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論研究はおおむね順調に進展している。また、実験研究についてはコロナウイルス感染症の影響で実施が遅れているが、2022年度に実施できる予定であり、研究全体としての遅れにはなっていない。
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今後の研究の推進方策 |
(1)意識経験の内観の理論のサーベイを進めて、それぞれの理論的立場の評価を行うとともに、サーベイ論文として結実させる。 (2)現象学的な反省を支える神経メカニズムを特定するための神経科学的実験を実施する。 (3)内観の技術を高めるためのトレーニング法の開発を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症の影響で、予定していた旅行を伴う研究活動が延期になったため。
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