研究課題/領域番号 |
21K00409
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
渡辺 将尚 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (90332056)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ナチズム / ホロコースト / 戦後ドイツ / 負のプレッシャー |
研究実績の概要 |
令和3年度は「先行研究整理段階」と位置付けた期間である(ちなみに,4年度は「仮説整備段階」,5年度および6年度は「仮説実証段階」である)。新型コロナ・ウィルスの影響がなお続いたことから,当初予定通り,当該年度は日本国内で入手できる文献の収集に徹した。収集方法は,購入・図書館を通じた相互貸借・国立国会図書館(関西館)の利用のいずれかによった。 具体的に収集した資料の種類は,以下の通りである。 (1)ホロコースト否定論者の一次文献等 まずは,否定論者たちの言説・主張を正確に整理・理解する必要がある。この観点から,否定論者たちの原著,および内容を詳細に解説・紹介した文献を収集した。 (2)ホロコースト否定論を分析したもの,まとめたもの,あるいは独自の立場を表明したもの 上に「仮説整備段階」「仮説実証段階」と書いたが,本研究を着想した段階で,報告者はある程度の仮説をすでに用意している。それは,英米仏の論者たちが盛んに「ホロコースト否定」を行う中で,当のドイツの論者たちが,自分たちも論争に加わらなければならないというプレッシャーを負っていたのではないか,というものである。この仮説はまだ荒削りなものであり,令和4年度にさらなる具体化をしなければならないが,令和3年度の資料収集はこれを強く意識し,作業に当たった。結果,当該仮説に資する先行研究,反対の立場にある先行研究,いずれにも当たらない先行研究,以上の3つに分類しながら収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画がすでに新型ウィルスの影響を考慮したものになっていたため,想定外の事態も起きず,順調に作業(資料収集および整理)を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画では,今年度も日本国内で収集できる文献による作業となる。具体的には,上記内容とも重複するが,計画段階で立てた仮説をより精緻で立証可能なものへと整備していくことが主たる目標となる。したがって,遅延なく遂行できるものと見込んでいる。
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次年度使用額が生じた理由 |
首都圏の感染拡大により,国会図書館本館での資料収集を1回中止したことによる残額である。本年度は,全4年計画の2年目であり,研究計画上最初の2年は国内での資料収集に専念する期間に位置付けている。資料収集作業は回数を重ねれば重ねるほど効果を上げることができるので,感染状況さえ許せば,令和4年度は令和3年度の残額を含めすべて執行するよう計画したい。
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