• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2021 年度 実施状況報告書

生物学的見地を導入したヒト・植物・言語のずれについての統語的・意味的研究

研究課題

研究課題/領域番号 21K00569
研究機関大阪教育大学

研究代表者

松本 マスミ  大阪教育大学, 教育学部, 教授 (10209653)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードヒト / 植物 / 言語 / 園芸書 / 園芸動詞 / 球根 / 一年草 / 生物学
研究実績の概要

これまでの研究代表者の植物と言語についての研究をもう一度見直すとともに、生物学、植物学、生物言語学関係の文献から生物学的視点、植物の成長についての知見を得た。本研究に関する最新の動向を把握するとともに、植物を記述した英語表現のデータを収集して分析を行った。また、ほぼ毎月、研究協力者から助言を受けた。その結果、次のような成果を得た。
(1)植物学の基本的文献であるBotanyにより、茎と葉が一体になった器官の集合体(塚谷他(2015))であるシュート(shoot)のうち栄養分の貯蔵が特に重要なものはbulbs(鱗茎、球根)、corms(地下茎)、rhizomes(根茎(地下茎の一種))、tubers(塊茎)に分類されることを確認した。(2)「ヒト・植物・言語のずれ(1)」(以下、松本(2022))を執筆し、松本(2017)で提案した「ヒトと植物との生物学的・言語学的特徴付け」の修正を提案し,生物学的特徴として感覚、反応を加えた。(3)松本(2022)で、球根についての園芸書を分析し、一年草の園芸動詞と球根の園芸動詞を比較して、次のようにまとめた。a. 球根の園芸動詞には「種まき」や「発芽」を述べる動詞がない。b. どちらもplantという動詞は使うが、植えるのものが異なる。c. 「植え付け」以降は、両者の記述内容は類似している。d. 「手入れ」については、一年草の園芸動詞の方が種類が多く、内容も豊富である。(4)松本(2022)では、ヒトは一年草の種子と球根植物の球根について最初の形の違いは意識するが、栄養繁殖についての両者の違いを意識しないため、園芸書においては、植え付け以降は記述が類似しているという結論を得た。(5)協力研究者とEvolang (2022)に応募した。(6)三層分裂動詞句構造について、継続して検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2021年度は、本研究に関する研究資料を収集して最新の動向を把握するとともに、植物を記述した英語表現のデータを収集すると同時に、三層分裂動詞句構造を発展させた構造について検討することを計画していたが、予定通り植物学についての知識を増やし、球根植物についての英語資料を収集して、「ヒト・植物・言語のずれ(1)」を執筆した。さらに、Evolangの研究発表に応募した。また、予定通り、研究協力者から定期的に助言を受けた。さらに、「ヒト・植物・言語のずれ(1)」の抜き刷りを他の研究者に送ることにより、育児書の英語と比較してはどうかという貴重な助言をいただいた。以上のように、順調に予定通りに研究は進んでいるといえる。

今後の研究の推進方策

・2022年度の計画は次の通りである。
(1)生物言語学の国際学会Evolangで研究発表を行う。(2)三層分裂動詞句構造や園芸動詞についての研究を発展させた論考の執筆を開始する。多年草や球根の分析も含めて外的・内的原因との関係を生物学的観点も取り入れる。(3)引き続き、植物に関する英語表現の資料を収集し分析する。日本英語学会Spring Forumの研究発表に応募する。(4)2021年度は研究協力者であった向井大阪教育大学名誉教授に2022年度から「植物の生活環における動詞を中心とした英語表現の解析」という分担内容で研究分担者になっていただく。2022年度の向井名誉教授の研究予定は次の通りである。分担者の専門である遺伝学や育種学の視点から、専門書や最新学術論文におけるヒトと植物が関わる英語表現について調べる。
・2023年度の計画は次の通りである。
(1)日本英語学会Spring Forumで発表する。これまでの三層分裂動詞句構造や園芸動詞についての研究をまとめた論考を完成させ、日本英文学会機関誌『英文学研究』に応募する。(2)植物の英語表現と英語教育について、無生物主語を中心とした論考を執筆し、『英語教育』などの英語教育関係の雑誌に投稿する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの流行のため、学会や研究会ががすべてオンライン開催になったため、旅費を使用する機会がなかった。2022年度は分担研究者1名を追加するため、分担金の一部に利用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ヒト・植物・言語のずれ(1)2022

    • 著者名/発表者名
      松本マスミ
    • 雑誌名

      大阪教育大学英文学会誌

      巻: 第67号 ページ: 63-71

    • オープンアクセス
  • [図書] ことばの様相ー現在と未来をつなぐー2022

    • 著者名/発表者名
      島 越郎、富澤 直人、小川 芳樹、土橋 善仁、佐藤 陽介、ルプシャ コルネリア、松本マスミ他
    • 総ページ数
      416
    • 出版者
      開拓社
    • ISBN
      978-4-7589-2366-8

URL: 

公開日: 2022-12-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi