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2022 年度 実施状況報告書

散住地域外国人住民のライフキャリア意識解明とキャリア構築支援のための日本語教育

研究課題

研究課題/領域番号 21K00642
研究機関東亜大学

研究代表者

家根橋 伸子  東亜大学, 人間科学部, 教授 (80609652)

研究分担者 山本 晋也  周南公立大学, 経済学部, 准教授 (20710742)
小口 悠紀子  広島大学, 人間社会科学研究科(教), 准教授 (70758268)
帖佐 幸樹  東亜大学, その他の研究科, 講師 (00963232)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード過疎地域在住外国人住民 / 外国人支援 / ライフキャリア / ライフキャリア構築支援 / 地域日本語教育 / ローカル・ガバナンス構造 / 多文化共生
研究実績の概要

本研究課題の目的は外国人散住地域の外国人住民のライフキャリア意識の解明と主体的ライフキャリア構築を支援する散住地域日本語教育の設計を行うことである。本研究は大きく(1)散住地域外国人住民のライフキャリア意識の解明、(2)散住地域日本人住民の多文化共生意識・行動の解明及び(1)との対照による課題分析、(3)(2)の分析結果・課題を踏まえた、地域社会での外国人住民の主体的ライフキャリア構築を支える「散住地域日本語教育・学習活動」モデルの設計・効果検証の3つの調査研究から構成される。
初年度にあたるR3年度は新型コロナ感染症による移動制限により遠隔地での調査ができなかったため、研究者所在地近隣にパイロット調査地を設定、パイロット調査を通じ地域調査研究に利用可能な枠組みを構築した。同時に外国人住民へのライフストーリー・インタビューデータの蓄積を行った。
2年目にあたる令和4年度は,R3年度に構築した地域調査研究の枠組みを用い,新たに3市での調査・分析を行った。依然コロナ感染症による移動制限が続いたこともあり,調査地を県内・近県に限定する一方で,集住地域と散住地域の中間的特性を持つと考えられる調査地も調査し比較することで,散住地域の特性をより明確にすることを試みた。
外国人住民ライフキャリア意識解明については,インタビュー調査・分析を継続実施した。本研究の最終段階である(3)教育モデルについても検討を開始し,言語文化教育研究学会第9回年次大会(2023年3月4~5日,関西大学)においてフォーラムを開催し発表を行った。
これらの調査研究の成果は複数の国内・海外学会において発表した。また,R5年度発表の論文誌・国内外学会にも積極的に応募を行ない,すでに雑誌・複数学会で採択が決まっている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究は大きく(1)散住地域外国人住民のライフキャリア意識の解明、(2)散住地域日本人住民の多文化共生意識・行動の解明及び(1)との対照による課題分析、(3)(2)の分析結果・課題を踏まえた、地域社会での外国人住民の主体的ライフキャリア構築を支える「散住地域日本語教育・学習活動」モデルの設計・効果検証の3つの調査研究から構成される。
初年度である令和3年度は新型コロナ感染症による移動制限のもとで多くの調査地での調査に支障が生じたが,近隣地での外国人住民へのインタビュー調査に加え、パイロット調査を通じ、今後進めていく複数の地域における調査研究の統一した枠組みを構築した。R4年度はこの調査研究の枠組みを用い,複数の調査地での調査を行うため研究分担者を新たに2名加え,4名による研究体制とした。散住地域外国人住民へのインタビュー調査分析も継続し,また,一部教育モデルについても検討を始めた。
以上の取り組みの結果,R4年度は,継続調査地1,新規調査地3か所で調査を実施することができた。またその成果の公開も国内を中心に積極的に行ない,本研究課題に対する認知を高めることができたと考える。しかし,感染症による移動制限の継続,予想以上に一調査地における調査に時間がかかったこと,調査対象者の依頼が難航したことから調査及びデータ数が予定を下回った。また,予定していた海外先進地の状況視察・情報共有については,コロナ感染症拡大による渡航制限の継続,視察対象探しの難航から進めることができなかった。
一方で,調査地・データ数については調査方法を修正することで対応できる見込みがあ見えてきたこと,またR5年度の海外学会2つでの発表がすでに採択されており,最終年度であるR5年度に向けた地固めができた。このため、(2)おおむね順調に進展しているとした。

今後の研究の推進方策

本研究は(1)散住地域外国人住民のライフキャリア意識の解明、(2)散住地域日本人住民の多文化共生意識・行動の解明及び(1)との対照による課題分析、(3)(2)の分析結果・課題を踏まえた、地域社会での外国人住民の主体的ライフキャリア構築を支える教育モデルの設計・効果検証の3つの調査研究から構成される。当初計画では,最終年度に当たる今年度は「3)(2)の分析結果・課題を踏まえた、地域社会での外国人住民の主体的ライフキャリア構築を支える教育モデルの設計・効果検証」を実施する予定であった。しかしこれまでの調査研究の経緯から,予定以上に一か所の調査に時間がかかることがわかった。このため,最終年度であるR5年度は,調査研究及びモデル構築のプロセスについて以下の修正を行い,研究の完成を目指す。
まず,調査研究について, R4年度には調査地選定において集住地域,散住地域の中間的性質を持つと予測される調査地においてもR3年度に構築した調査研究の枠組みを利用し調査を実施した。最終年度であるR5年度は,残りの研究期間を考慮し,調査地をむやみに増やすのではなく,既調査地における調査をより徹底し,異なる特性を持つ調査地間の結果の比較を行うことで散住地域の特性を解明する。 また,外国人に対するインタビューのデータ数が不十分であることから,インタビューデータの確保と分析を早急に行う。
海外視察については,時間的・予算的制約から,情報収集に焦点化し,すでに決まっている国際学会発表の機会を利用し,情報収集を行い,可能な範囲で現地視察を行うこととする。
最終的にR5年度後半においては,これらの結果を合わせ,本研究の最終目的である日本語教育モデル構築へとつなげていく方策を採る。研究結果の公開については引き続き国内外において積極的に行う。

次年度使用額が生じた理由

本研究は大きく(1)散住地域外国人住民のライフキャリア意識の解明、(2)散住地域日本人住民の多文化共生意識・行動の解明及び(1)との対照による課題分析、(3)(2)の分析結果・課題を踏まえた、地域社会での外国人住民の主体的ライフキャリア構築を支える「散住地域日本語教育・学習活動」モデルの設計・効果検証の3つの調査研究から構成される。R4年度はコロナ感染症による移動制限,渡航制限継続のため,国内でのより頻繁な調査や海外での発表・視察が叶わなかったため,このための経費が残置された。一方でR4年度にはR3年度にコロナ禍により実施の遅れていた国内外での調査研究を加速させるため新たに2名の研究分担者を加えた。R5年度はこの4人体制で,当初計画に沿った教育モデル構築研究・研究結果公開に加え,R4年度に計画していた調査研究の継続実施、海外での発表・視察を行うため,予定されていた最終年度予算に加え,このR4年度の繰り越し額を合わせた予算が必要である。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (7件) (うちオープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 「地域日本語教育」の「地域」について考えてみませんか?―視点を変えることで見えてくる多様な地域日本語教育のあり方―2023

    • 著者名/発表者名
      家根橋伸子・山本晋也・小口悠紀子・帖佐幸樹
    • 雑誌名

      言語文化教育研究学会第9回年次大会予稿集

      巻: 1 ページ: 41-46

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 地域日本語教育における対話交流型クラスの可能性 : 外国人市民と日本人市民をつなぐ試みを通して2023

    • 著者名/発表者名
      淺田岐依・小口 悠紀子
    • 雑誌名

      広島大学日本語教育研究

      巻: 33 ページ: 16-23

    • DOI

      10.15027/25158

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 留学生のキャリア形成支援に関わる人・組織の連携を考える―日本語学校・大学・大学院の事例から―2023

    • 著者名/発表者名
      寅丸真澄・齊藤千鶴・中島智・中本寧・松野芳夫・佐藤正則・松本明香・家根橋伸子
    • 雑誌名

      言語文化教育研究学会第9回年次大会予稿集

      巻: 1 ページ: 172-183

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] ローカル・ガバナンス構造から見た散住地域外国人住民のライフキャリア形成と日本語教育―X市におけるフィールド調査から―2022

    • 著者名/発表者名
      家根橋伸子・山本晋也
    • 雑誌名

      2022年度日本語教育学会春季大会予稿集

      巻: 1 ページ: 174-179

  • [雑誌論文] 国内大学留学生のキャリア意識と行動―アンケート調査の統計分析から―2022

    • 著者名/発表者名
      寅丸真澄・家根橋伸子・佐藤正則・松本明香
    • 雑誌名

      2022年度日本語教育学会春季大会予稿集

      巻: 1 ページ: 51-56

  • [雑誌論文] キャリア支援者は外国人留学生のキャリア形成をいかに捉えているか―高等教育機関におけるインタビューから2022

    • 著者名/発表者名
      寅丸真澄,佐藤正則,松本明香,家根橋伸子
    • 雑誌名

      『2022年度日本語教育学会秋季大会予稿集

      巻: 1 ページ: 241-245

  • [雑誌論文] 日本語非母語話者に日本語でインタビューするということ、そしてそれを読み手に伝えること2022

    • 著者名/発表者名
      家根橋伸子
    • 雑誌名

      語りの地平

      巻: 7 ページ: -

  • [学会発表] 「地域日本語教育」の「地域」について考えてみませんか?―視点を変えることで見えてくる多様な地域日本語教育のあり方―2023

    • 著者名/発表者名
      家根橋伸子・山本晋也・小口悠紀子・帖佐幸樹
    • 学会等名
      言語文化教育研究学会第9回年次大会
  • [学会発表] キャリア支援者は外国人留学生のキャリア形成をいかに捉えているか―高等教育機関におけるインタビューから2023

    • 著者名/発表者名
      寅丸真澄,佐藤正則,松本明香,家根橋伸子
    • 学会等名
      2022年度日本語教育学会秋季大会
  • [学会発表] 留学生のキャリア形成支援に関わる人・組織の連携を考える―日本語学校・大学・大学院の事例から―2023

    • 著者名/発表者名
      寅丸真澄・齊藤千鶴・中島智・中本寧・松野芳夫・佐藤正則・松本明香・家根橋伸子
    • 学会等名
      言語文化教育研究学会第9回年次大会
  • [学会発表] ローカル・ガバナンス構造から見た散住地域外国人住民のライフキャリア形成と日本語教育―X市におけるフィールド調査から―2022

    • 著者名/発表者名
      家根橋伸子・山本晋也
    • 学会等名
      2022年度日本語教育学会春季大会
  • [学会発表] 国内大学留学生のキャリア意識と行動―アンケート調査の統計分析から―2022

    • 著者名/発表者名
      寅丸真澄・家根橋伸子・佐藤正則・松本明香
    • 学会等名
      2022年度日本語教育学会春季大会
  • [学会発表] 留学生のキャリア形成と「JLPT問題」―複言語・複文化能力を強みにできないジレンマの語りから―2022

    • 著者名/発表者名
      松本明香・家根橋伸子
    • 学会等名
      第24回ヨーロッパ日本語教育シンポジウム16th EAJS International Conference
    • 国際学会
  • [学会発表] 国内地方小規模私立大学留学生のキャリア意識と教育実践2022

    • 著者名/発表者名
      家根橋伸子
    • 学会等名
      韓国日語教育学会・言語文化教育研究学会第42回国際学術大会
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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