研究課題/領域番号 |
21K00765
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岩井 千春 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (90411389)
|
研究分担者 |
岩根 久 大阪大学, サイバーメディアセンター, 招へい教員 (50176559)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 語用論 / 苦情対応 / ESP / 国際比較 / 日本・アメリカ・イギリス |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、苦情対応の言語使用を語用論の手法(談話完成テストとロールプレイ)によって英語・米語・日本語で比較分析し、苦情対応に必要な語用論的能力に特化した新しいESP(専門英語)教授法の開発を行うことである。 2021年度は、量的研究として、談話完成テストとアンケート調査を実施した。談話完成テストは特定の状況での会話展開方法の調査を行う研究方法であるが、本研究では特定の苦情対応の状況で、どのように返答するかを調査した。次に、アンケート調査では、苦情対応の実態に関する質問(多い苦情の種類、苦情対応の方法、心理的難易度など)とともに、苦情対応の難易度に影響を与える要因を探る質問も加えて、多角的に調査した。2021年に実施した談話完成テストとアンケート調査の対象者はイギリス人であり、インターネットを利用して実施し、有効回答数は計画通り300件あまりを取得できた。比較対象となる日本人とアメリカ人のデータは本研究チームによる科研研究(課題番号17K02934)で取得済みであるため、本研究で得られたイギリス人のデータを加えて、アメリカ、日本の3カ国の国際比較研究を行うことが可能である。本研究の談話完成テストとアンケート調査の結果から、日・米・英の人々の苦情対応の方法の違いや、それぞれの言語的特徴を統計的に明らかにした。また、談話完成テストとアンケート調査の記述式回答は、テキストマイニングの手法を取り入れ、多角的な分析を行った。これらの研究結果は、2022年度に学会で発表する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、1) イギリス人に対する談話完成テストとアンケートの質問作成と調査の実施、及び、2) 調査結果の分析、を順調に進めることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度に実施した談話完成テストの結果を補完・充実させるため、ロールプレイとインタビューを実施する (研究協力者は、接客経験のあるイギリス人10名)。ロールプレイは、談話完成テストと同じ状況設定(質問内容)で、研究協力者には店員の役で客役の者と会話をしてもらうという研究方法である。その後のインタビュー調査では、ロールプレイでの返答内容の理由を尋ねて言語使用の背後にある社会文化的影響を調査し、その結果を考察に活かす。研究協力者には研究の趣旨と方法を説明し、事前に承諾を得る。分析は、本研究チームによる先行の科研研究(課題番号17K02934)で得た日本人とアメリカ人のデータを加え、日・米・英の3カ国のデータを比較分析し、更に2021年度の量的研究とのトライアンギュレーションにより研究を深める。 研究遂行上の課題としては、対面で実施する必要があるロールプレイとインタビューの調査について、新型コロナウイルス感染状況や感染予防対策に留意し、研究の遂行を慎重に行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2021年度は学会がオンラインで開催されたため、国内旅費を使用する必要がなくなった。また、設備備品として申請していたパソコンは所属大学から支給された研究費で賄うことができたため、次年度使用額が生じた。使用計画としては、2022年度実施予定のロールプレイとインタビュー調査のために、研究チームの東京への出張旅費や研究協力者の人件費、及び、会場費が必要であるが、支給される科研費補助金を上回る予定であり、予算の不足分に充当する予定である。
|