研究課題/領域番号 |
21K00830
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
上田 長生 金沢大学, 国際学系, 教授 (10599369)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 加賀藩 / 十村 / 御蔵 / 蔵宿 / 米穀流通 / 借知 / 御用留 / 知行制 |
研究実績の概要 |
令和5年度は、加賀藩領のうち越中国を中心に、各地の史料保存機関が所蔵する御蔵・蔵宿関係文書の網羅的調査・収集を進めた。合わせて、加賀国・能登国の関係文書も広く収集することとした。その結果、富山県立図書館で3回、富山大学附属図書館・氷見市立博物館で2回ずつ、高岡市福岡歴史民俗資料館・南砺市立井波図書館・小矢部市民図書館・南砺市立福野図書館で1回ずつ、金沢市立玉川図書館近世史料館で10回など、計26回の史料調査を実施し、約48,000コマの古文書の撮影をすることができた。 特に、小矢部市民図書館では津沢御蔵のあった砺波郡津沢町、福岡歴史民俗資料館では三日市御蔵が所在した同郡三日市村の関係史料を多数収集することができ、近世史料館所蔵の越中国砺波郡三清村十村の武部文庫の「御用留」に含まれる御蔵・蔵宿の日常的な運用に関わる記事を多く収集した。また、富山県南砺市福野町で酒造業を営み、十村役も務めた山田家文書の新出古文書3000点あまりも借用・整理に取りかかることができた。 また、近世史料館に保管されている金沢の蔵宿・鍋屋文書の整理作業も進め、『鍋屋文書目録 第二集』を刊行することができた。令和5年度には、加賀藩研究ネットワーク例会で「番代論―加賀藩十村制と知行制を支えた者―」を、加能地域史研究会で「近世後期加賀藩の「御収納米征撰・俵拵仕法」について」の口頭発表を行い、論文化の目途を立てることができた。なお、研究成果の一端は、見瀬和雄編『中近世日本海沿岸地域の史的展開』(岩田書院、2024年1月)に「加賀藩の借知と藩領社会―越中国砺波郡を中心として―」として刊行したほか、次年度早々加賀藩研究ネットワーク編『加賀藩研究』に投稿論文「加賀藩御蔵の基礎的研究」が掲載される予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和5年度も、多くの史料所蔵機関で調査・文書撮影することができ、多くの文書画像データを収集できた。これは、当研究課題のみならず、今後の加賀藩領社会研究の基盤となると考えている。特に、新たに小矢部市民図書館で津沢御蔵のあった津沢町、高岡市福岡歴史民俗資料館で三日市御蔵が所在した三日市村の多くの史料を収集できたことは、村落レベルでの御蔵との関係を探るうえで極めて貴重な成果といえる。 さらに、加賀藩の借知と藩領村々に関わる論文を公表でき、御蔵の基礎的分析を行った論文の公表が確定したことから、蔵宿と借知の関係や近世後期の米俵仕法、十村制と知行制の関係などの、次なる課題を検討する足掛かりができたものということができる。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、引き続き加賀・能登・越中の旧加賀藩領の御蔵・蔵宿関係の史料の追加調査を進める。特に、金沢市立玉川図書館近世史料館の武部文庫の「御用留」、氷見市立博物館の筒井文書の「御用留」、羽咋市歴史民俗資料館所蔵の十村加藤家文書の撮影を終わらせる予定である。 令和6年度は、(1)城下町金沢で加賀藩知行制・十村制を支えた番代、(2)蔵宿と藩領社会、(3)幕末期の「年貢米俵拵仕法」について、前年度の学会発表を踏まえて、論文化・投稿を進める。また、幕末期の備考貯蓄である別除籾について、史料収集・分析を進め、関西圏の学会での研究発表を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
図書館を通じた図書発注において、会計の〆切間に合わなかったために、次年度使用額が生じた。令和5年度に購入できなかった図書の購入に充てる予定である。
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