研究課題/領域番号 |
21K00947
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
小森 宏美 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (50353454)
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研究分担者 |
仙石 学 北海道大学, スラブ・ユーラシア研究センター, 教授 (30289508)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 「長い」体制転換 / 新自由主義 / 社会統合 / 国際秩序 / ロシア語話者 / エストニア |
研究成果の概要 |
本研究の特徴はエストニアの体制転換期を冷戦期の1985年から現在にかけての「長い」体制転換期として設定したことにある。同国の体制転換が国内最大のマイノリティであるロシア語話者の社会統合を柱の一つに進められたことは他の旧社会主義国との大きな違いであった。1990年代にはマイノリティの保護に注目が集まり、安全保障については隠されたアジェンダであったのに対し、2022年以降は安全保障政策としての国民統合強化が顕在化した。この変化は国際秩序の動揺を受けて隠されていたアジェンダが浮上した結果とも言える。冷戦末期にも同様に「自由」や「民主主義」と安全保障が切り離せないものであったことは指摘すべきだろう。
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自由記述の分野 |
ロシア・東欧近現代史
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
エストニアの新自由主義的体制転換の「成功」やEUの規範に合致した少数者の権利保障などに対し、同国の民主主義を空洞化した形だけのものとする批判がある。一方現実には、新自由主義的な政策の方向性は基本的に維持されてきたものの、コロナ禍やロシアによるウクライナ軍事侵攻を受け変化も起こりつつある。 これらを踏まえた上での本研究の学術的意義は①数値によっては明示しえない「自由」や「民主主義」の捉えられ方、政策選択の背後にある認識などを多様なアクター間の交渉の詳細を追うことで記述したこと、②1985年から現在までを「長い」体制転換期と捉えることで、国内政治と国際関係に働く共通の要因について析出したことである。
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