研究課題
基盤研究(C)
沖縄地域の縄文時代遺跡である野国貝塚・新城下原第二遺跡や下田原貝塚から出土したイノシシ類の骨を対象として、形質の分析とAMS年代測定を実施した。その結果として、沖縄本島西海岸地域(野国貝塚・新城下原第二遺跡)では出土資料のほぼ全てがブタであり、縄文早期終わり頃から前期にかけて地域内で共通したパターンのブタ飼育が行われていたこと、八重山地域(下田原貝塚)でも出土資料の大部分がブタであり、縄文後期にあたる時期にはブタ飼育が行われていたことなどを明らかにした。
動物考古学
沖縄では現在もブタがさかんに利用されるが、このブタ利用文化がいつ始まったのかについては、これまでよくわかっていなかった。このブタ利用の始まりについて、沖縄の中でも本島から八重山地域までの広い範囲にわたって、縄文時代という古い時期からすでにブタの導入と飼育が行われていたことを明らかにできた。ただし、本島と八重山地域では同じ縄文期であってもブタのタイプや飼育パターンは大きく異なり、ブタ飼育には地域性が存在したことも明らかにできた。