研究課題/領域番号 |
21K01052
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研究機関 | 高崎経済大学 |
研究代表者 |
山本 匡毅 高崎経済大学, 地域政策学部, 教授 (30455555)
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研究分担者 |
近藤 章夫 法政大学, 経済学部, 教授 (60425725)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | エアバス社 / ボーイング社 / 宇宙産業 / 発注元 / アイテム |
研究実績の概要 |
今年度、国土周辺地域の航空機部品サプライヤーに関する実態調査、国土中間地帯における航空宇宙部品サプライヤーの実態調査、日本の航空宇宙産業の動向分析を進めた。 2020年の新型コロナウイルスの発生に伴い、グローバルな人的移動に制限がかかり、世界的な航空需要は急減した。その影響で航空機需要の拡大で事業拡大をしてきた国土周辺地域に立地する航空機部品サプライヤーの受注が大幅に減少するともに、国土中間地帯における航空宇宙部品サプライヤーにおいても受注が激減した。ところが2022年頃から世界的な航空需要が回復すると、国土中間地帯に立地する一部の航空宇宙部品サプライヤーから受注が回復してきた。これは、国土中間地帯に立地するサプライヤーの一部がエアバス社から受注していることによる。他方で、ボーイング社向けの受注は、同社機体の生産トラブル、事故、再検査新型機の開発遅延などの影響を受け、回復が大幅に遅れたことから、ボーイング社向けを主とする国土周辺地域に立地する航空機部品サプライヤーは、2022年時点でも受注の回復が進んでいなかった。 一方で、国土周辺地域に立地する宇宙部品サプライヤーは着実に受注を進めている。その代表例が福岡市のQPS研究所と共同開発を行っているパートナーものづくり企業である。ここではQPS研究所が積極的に小型SAR衛星の開発を進めているために、安定的な受注を獲得している。海外に依存する航空機部品サプライヤーと比べて、国内にセットメーカー(ここでは大学発ベンチャー企業であるQPS研究所)が存在する宇宙産業の方が、世界情勢に左右されることなく、安定した受注を得られている点が顕著であった。 このように、国土周辺地域に立地する航空宇宙部品サプライヤーであっても、発注元、アイテムの差異によって、生産停滞であるのか、あるいは生産拡大なのかの相違が生じていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は国土周辺地域に立地する航空機部品サプライヤーの実態調査を行うとともに、国土中間地帯における航空宇宙部品サプライヤーのヒアリング調査もできた。また前年度に調査した内容を踏まえつつ、既存資料をもとにした論文2本を刊行することができた。しかしながら、今年度も業務の関係で、アンケート調査の実施ができず、また北海道、九州・沖縄、山陰地方の調査が次年度に繰り越しになっている。これらの状態から(3)やや遅れているを選択した。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は国土周辺地域に立地する航空宇宙産業のヒアリング調査を積極的に行う。特に北海道、九州・沖縄、山陰地方の調査を重視していく。また繰り越しになっていた国土周辺地域に立地する航空宇宙関連企業向けのアンケート調査の実施を進めていく。これらの成果をもとにして、年度末には学術雑誌への論文投稿を行い、成果を出していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者、研究分担者ともに学内業務が多忙となり、研究にやや遅延が生じている。特に予算申請で大きな割合を占めている現地調査及びアンケート調査の遅延が、次年度使用額が生じた要因である。
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