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2022 年度 実施状況報告書

モーションキャプチャによる八王子車人形の動作解析およびデジタルアーカイブ作成

研究課題

研究課題/領域番号 21K01061
研究機関都留文科大学

研究代表者

早野 慎吾  都留文科大学, 文学部, 教授 (90381053)

研究分担者 董 然  東京工科大学, コンピュータサイエンス学部, 助教 (80879891) [辞退]
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワード人形浄瑠璃 / 西川古柳 / モーションキャプチャ / 序破急 / 円の動き / 感情表現 / 音声研究
研究実績の概要

当該年度は、五代目西川古柳(国重要無形民俗文化財西川古柳座家元)から採取したモーションキャプチャデータの解析を行った。特に首(かしら)を中心とした所作における角速度の測定を行い、感情表現に重要な「円の動き(Arc Motion) 」「序破急(Tempo Changes) 」の実態を明らかにした。西川古柳の所作は、義太夫および三味線のリズムと同期しており、特に低速のときに顕著にあらわれていた。高速の動きは、感情の高ぶりなどの不安定さを表すことが多いため、あえて同期させないことで不安定な感覚を表している場面もある。演目において義太夫と人形遣いがタイミングの「合わせ」を行うポイント箇所がある。特に義太夫の語りにおける句末の声(特に上げ音調)に人形遣いが「合わせ」を行っていた。
義太夫の語りの特徴も分析している。文楽協会所属で西川古柳座と共演することの多い竹本越孝に単独で実演してもらい、比和谷恭子(元アナウンサー)の発音と比較することで、その特徴を分析した。その結果、感情表現では、歌謡の技術を多用していた。また感情を強調するときには、1音節の長さが、通常の会話の2~3倍(つまり2~3拍)になり、アクセント型を崩して発音する傾向もあった。語尾に生字(語末音を繰り返す発音)を頻繁に使用する傾向も観察できた。オペラ同様に、感情表現には歌謡の技術(テクニック)が効果的であることが明らかとなった。
これらの基礎的なデータをデジタルアーカイブとして公開することが可能である。また、これらの結果を表現できる人型ロボットを作成しており、現時点では首と胴体までが完成している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度は、人形の関節が伸び縮みすることが判明したことで、AIによるアルゴリズムが作成できなかった。つまり、動作ごとに骨格の異なる人型のモデルを作成しなくてはならない状況になり、進行が遅れた経緯がある。秒ごとに骨格の変わるシステムの構築には、現在の経費では不可能なため(※業者の見積もりによる)骨格が変動する人型ロボットの作成に切り替えたことで経費内での進行が可能となった。

今後の研究の推進方策

西川古柳の所作を再現できるAI人型ロボットを作成しているが、EXPO2025で西川古柳と共演(ロボットと人間の共演)するデモンストレーションを実施する方向で進めている。
また、モーションキャプチャによって採取したデータは、各演目毎にアーカイブとして整理して公表する予定である。分析成果は、可能な限り、国内でなく国際ジャーナルに投稿していく方針である。

次年度使用額が生じた理由

人形遣い所作を再現するためのシステム構築を、3DCGからAI人型ロボットに変更したため使用額の変更が生じた。
本年度の計画としては、8月頃までにAI人型浄瑠璃ロボットの原型を完成させ、12月にかけて改良および、外装を完成していく。モーションキャプチャによる演目アーカイブに関しては12月以降に整理して、順次公表していく。現時点では、都留文科大学のサーバを利用する予定である。
なお、本年度は義太夫の語りと人形遣いの合わせについて重点的に整理・分析して、国際ジャーナルへ投稿する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Emotional Expression and Phonetic Features in Gidayu Narratives in Hidakagawa Iriaizakura2023

    • 著者名/発表者名
      Shingo Hayano
    • 雑誌名

      Studies in the Japanese Language Culture

      巻: 5 ページ: 1-10

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Investigating the Effect of Jo-Ha-Ky on Music Tempos and Kinematics across Cultures: Animation Design for 3D Characters Using Japanese Bunraku Theater2022

    • 著者名/発表者名
      Ran Dong, Dongsheng Cai, Shingo Hayano, Shinobu Nakagawa, Soichiro Ikuno
    • 雑誌名

      Leonardo

      巻: 55(5) ページ: 468-474

    • DOI

      10.1162/leon_a_02250

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Analyzing Jo-Ha-Kyu Mechanism in Japanese Traditional Performing Art Ningyo Joruri2022

    • 著者名/発表者名
      Ran Dong, Shaowen Ni, Bo Wu, Shingo Hayano, Dongsheng Cai, Soichiro Ikuno
    • 学会等名
      DASC/PiCom/CBDCom/CyberSciTech
    • 国際学会

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公開日: 2023-12-25  

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