研究課題/領域番号 |
21K01069
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研究機関 | 大阪観光大学 |
研究代表者 |
谷口 裕久 大阪観光大学, 国際交流学部, 教授 (70288695)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 移民 / 難民 / ディアスポラ / モン(Hmong) / 中国 / 東南アジア大陸部 / 越境 |
研究実績の概要 |
本研究は人的資源の国際移動の研究である。この研究における調査対象は、国境を越えて複数の国家群に息づくひとつの民族であるところの「モン(Hmong)」の人々である。 これまでのヨーロッパなどでの移民研究や難民研究(通常は国境を越えるもの)をもとにして、ディアスポラ研究・移民史研究のなかで本研究がどのように位置づけられるかを、まずは邦文文献を中心に検討した。これは文化人類学的なフィールドワークを行うための準備作業の一環であり、また比較のための作業仮説を設定する上での前提となった。 これまで本研究が対象とする中国から東南アジア大陸部にまたがる地域では、「地域研究(Area Studies)」がアメリカを中心に歴史的に進められてきた。そこでは例えば「ドミノ理論」といった政治的な論理が国家の覇権論などとともに考察されてきた。 本研究は中国と東南アジア大陸部諸国家の近接する国境領域を対象としつつも、文化人類学的にアプローチするため、上記のような既存の「地域研究」とは相違する。その意味において、本研究の人的資源の国際移動の意味とは、国境をまたぐ数キロから数十キロ程度の比較的狭い範囲を領域とし、そこでどのような人的資源の移動が行われるかを、フィールドワークを基礎にして明らかにしようとする研究である。 したがって、その前提として、ヨーロッパや北米などで展開してきた国境近辺の人的資源の移動やその具体的な状況に関し、その位置づけの比較をおこなった。本研究が対象とする「地域」に関しては、社会的共生論やゾミア論などの仮説や考察がこれまでにも出ているが、本研究は、こうした領域の文化人類学的な研究として、環境や地理を含めた広範な分野を含めて一定の検討をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
基礎的な文献研究としては、ヨーロッパなどを例にした邦文文献の渉猟には進捗があった。今年度は引き続いて中国語文献や英文文献などを読了し、関連する情報収集に引き続き努める。 対象となる国家への渡航であるが、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、対象とする中国・ベトナム・タイ・ラオスでは入国時の対応が異なる。例えば隔離期間ひとつを取っても様々であり、また変化する。その状況を常に追跡し見定めた上で、現地への渡航を長期休暇時に検討せねばならない。 したがって、文化人類学的なフィールドワークを行うという点では、各国への渡航や往来を見合わせているという状況が続いている。文献研究以外に参与観察を行う必要がある文化人類学的な観点から記せば、本研究はやや遅れていると表現できるが、新型コロナウイルス感染症によるフィールドワークの次年度以降への先送りは、研究計画調書でも見越していた事柄である。 国によっては状況の改善に応じた柔軟な対応が取られる例もあり、今年度の海外渡航によるフィールドワークには期待を寄せている。
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今後の研究の推進方策 |
邦文文献以外の英語や中国語文献なども用いて、今後も文献研究を推し進めるとともに、同時に各国の新型コロナウイルス感染症の動向や現状の把握に努める。 研究計画調書では、令和4年(2022)度は前年度に続いて、海外での予備調査と資料収集を行うことを明記している。そこでは研究計画の3年間のうちに、中国15日間・ベトナム15日間(自主隔離期間除く)・ラオス15日間・タイ15日間(自主隔離期間を除く)を挙げているが、その期間を先送りすることを視野に入れ研究を進捗させてきた。したがい、今年度以降は、新型コロナウイルス感染症の各国の状況に応じてタイミングを見計らいつつ、臨機応変にフィールドワークに赴きたい。 国境の村落での文化人類学的フィールドワークが主体となるが、その際には研究計画調書に記したような現地の研究者等との連携も必要であり、電子メールなどにより渡航前より交流を進展させる。それ以外にも都市部における図書館、官公庁、NGO等において基礎的な資料収集や調査対象(地)に関する情報収集を行う計画がある。
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