研究課題/領域番号 |
21K01069
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研究機関 | 大阪観光大学 |
研究代表者 |
谷口 裕久 大阪観光大学, 国際交流学部, 教授 (70288695)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 国境 / 移住 / 周縁性 / 少数民族 |
研究実績の概要 |
令和4年度には、英・日・中の関連文献を収集した上でこれらを渉猟し、昨年度の作業仮設の検証、ならびに調査課題の設定を行うべく研究活動をおこなった。これと同時に現地のフィールドワークに重点を置いて研究を進めた。文化人類学的な参与観察と聞き取り調査を、タイ(令和5年2月)ならびにベトナム(令和5年3月)にて敢行した。 東南アジア大陸部にはメコン流域圏にベトナムとラオスという社会主義国が存在するが、それら2国間同士で、またここにさらに中国を加えた越―中、ラオス―中国との間で、それぞれに改革開放政策が採用されることによって、国境を越えた往来が活発化している。 例えば、平地社会と山地社会がそれぞれ分割し乖離しているという視点は研究者側のそれであるのだが、それが無前提的に考えられてきたことによって、あたかも断絶した構造が存在するかのようにモデルとして語られてきた。 国境線がまたがる領域は山岳地域であるがためにルートは限られるものの、越境移動するその主体は多数派民族のみならず、少数民族にも広がっている。国境線を隔てた地域は、それらの民族の相互交流の場となっており、言わば越境のダイナミズムが展開している。モン(Hmong)を中心とした少数民族が、個々の地域社会に一定の影響を与えているが、一方で政策はそれぞれの国家における国境領域にまで及んでおり、各国ナショナリズムや少数民族政策は辺境にまで浸透している。東南アジア大陸部ではポスト冷戦期の時代において、例えばASEAN内各国のボーダーレス化(脱国境化)が進行することが一部では予測されてもいたが、現状では山岳地域であるという地理的状況が障壁となって、容易にはそれへの過程は進行していない。 なお、タイにおいては今年度に研究集会を開催する予定(下記、今後の研究の推進方策の欄を参照のこと)で、令和4年度からその調整をチェンマイ大学の研究者とおこなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和5年1月になって新型コロナウイルス感染症に対する政策が突如終了した中国における文化人類学的フィールドワークが未了であるため。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度には、中国とくに雲南省内での文化人類学的フィールドワーク(参与観察と聞き取り調査)、ならびにラオスでのそれを行い、調査データを整えるとともに、作業仮設に対する整合性を検討する。 また令和5年度にはタイのチェンマイ大学において研究集会を開催する予定(8月~10月の間)でおり、現地の研究者と調整中である。これに加え、ベトナム社会科学院との交流の過程で研究集会開催の可能性についても探っており、ハノイでも研究集会をおこなう可能性もある。これらの研究集会には本科研費の論点の集約を行う目的があるが、今年度の補充調査の成果をも踏まえた上で、再び論点の整理を行いたい。 本科研費の研究報告書については今年度末までに刊行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和4年度については、新型コロナウイルス感染症の影響が調査対象国家・地域において色濃く、それを受けた海外渡航や国際会議の延期を行わざるを得なかった。令和5年度分については、タイとベトナムにおいてとくに国際会議の開催を検討中であり、その用途として一定額を支出する予定である。
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