本研究課題の学術的意義は、現代中国に居住する少数民族(特にイスラームを信仰する少数民族)の伝統的生業(ハラール産業)が社会主義化以降、どのように民俗知を変容させながら持続させてきたのかという問題を文献資料およびフィールドワーク(主に聞き取り調査)で得られた民族誌的資料にもとづいて実証的に解明したことにある。また、本研究課題の社会的意義は、中国の少数民族が社会主義化以前から醸成させてきた民俗知に注目することによって、近代国民国家(特に社会主義中国という新全体主義国家)に暮らさざるをえないマイノリティの生存戦略のありかたを民族誌的資料に依拠して個別具体的に把握することができる点にある。
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